
「長期間ごはんを食べていなかった保護猫さんを迎えた」
「大きな病気から回復して、久しぶりにごはんを食べられるようになった」
そんなとき、「お腹が空いていたでしょう」と急にたくさんのごはんをあげたくなってしまうのが親心ですよね。
しかし、長期間の絶食や重度の栄養不良状態にあった子に急に多くの栄養(特に炭水化物や高カロリー食)を与えると、命に関わる深刻な代謝障害を引き起こすことがあります。これが「リフィーディング症候群(Refeeding Syndrome)」です。
今回は、飼い主様にぜひ知っておいていただきたい「リフィーディング症候群」の仕組みと、安全な食事再開のステップについて解説します。
目次
なぜ「急な給餌」が危険なの?
長期間ごはんを食べていない状態が続くと、体はエネルギーを作るために自分の筋肉や脂肪を分解して生き延びようとします。このとき、体内のミネラル(特にリン・カリウム・マグネシウム)も著しく減少しています。
この状態で急にごはんを食べると、以下のような急激な変化が体内で起こります。
- 食事が入ってくることで、血糖値を下げる「インスリン」が大量に分泌される
- インスリンの働きにより、血液中の糖と一緒にリンやカリウムが急激に細胞内へ取り込まれる
- 血液の中のリンやカリウムが一気に不足状態(低リン血症など)になる
血液中のリンやカリウムが急激に減ると、赤血球が壊れて深刻な貧血(溶血性貧血)を起こしたり、心臓や筋肉が正常に動かなくなったりしてしまい、最悪の場合、命を落とす危険性があります。
リフィーディング症候群のリスクが高い状況
以下のような状況にある動物さんは特に注意が必要です。
- 野外で何日も迷子になっていた/保護されたばかりの子
- 病気(脂肪肝、重度歯肉炎、腫瘍など)で数日間~数週間まともに食事ができていなかった子
- 激しい嘔吐や下痢が続いて体重が激減している子
- 猫さんの「肝リピドーシス(脂肪肝)」治療中の初期
※特にネコちゃんは短期間の絶食でも肝臓に大きな負担がかかりやすく、食事再開時のリスクが高いため厳重な管理が必要です。
注意すべき症状(サイン)
食事を再開して数時間~数日(特に1~4日以内)の間に以下のような症状が見られた場合は、すぐに獣医師にご相談ください。
- ぐったりして元気がない(虚脱・起立不能)
- 吐き気・嘔吐
- ふらつき・痙攣(けいれん)などの神経症状
- 呼吸が荒い、苦しそうにしている
- 黄疸(白目や耳の内側が黄色くなる)
安全に食事を再開するための大切なポイント
リフィーディング症候群を防ぐためには、「焦らず、少しずつ」が鉄則です。
給餌量は「目標の20%」からスタート
いきなり1日分の必要カロリーを与えるのではなく、最初は本来必要なカロリーの20%程度から少量ずつ与えます。数日かけて血液検査の結果や体調を見ながら、徐々に量を増やしていきます。
回数を分けて小分けに与える
1回の量を少なくし、1日に4~6回以上に分けて与えることで、インスリンの急激な分泌を防ぎます。
必要に応じて動物病院での血液検査・点滴管理を行う
重度の栄養失調が疑われる場合は、ご自宅での給餌を始める前に血液検査(リンやカリウムの数値確認)を行い、必要に応じて静脈点滴でミネラルを補給しながら慎重に食事を再開します。
まとめ
お腹を空かせている姿を見ると、ついたくさんのごはんをあげたくなりますが、「急な給餌はかえって負担になる」ということを覚えておきましょう。
何日も食べていない子を保護した場合や、病気で長期間絶食していた後の食事再開については、まずは自己判断せず動物病院へご相談いただくのが一番安心です。
当院でも、その子の体調に合わせた安全な給餌プランをご提案しておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
ハグウェル動物総合病院 吉川美南院の体制
ハグウェル動物総合病院 吉川美南院では、健康診断を通年で実施しており、病気の早期発見・早期治療に力をいれています。
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