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【横浜鶴ヶ峰院】愛犬・愛猫を「血管肉腫」から守るために〜見逃してはいけない初期サインと最新の治療選択〜

 

【専門診療】中津  院長

【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科

 

 

犬猫さんの「血管肉腫」について

愛犬や愛猫に「腫瘍」の疑いがあると言われたとき、飼い主様の不安は計り知れません。中でも「血管肉腫」は、進行が早く、突然の体調不良を引き起こすことがあるため、正しい知識を持ち、早期発見に努めることが非常に重要です。本記事では、獣医師の視点から血管肉腫の全体像を詳しく解説します。

1.疫学(かかりやすい犬種や年齢)

血管肉腫は、血管の内皮細胞(血管の内側を覆う細胞)から発生する悪性腫瘍(がん)です。

  • 犬さんでの発生: 猫さんに比べて犬さんでの発生率が非常に高く、犬さんの全悪性腫瘍の約5〜7%を占めます。特にゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ジャーマン・シェパードなどの大型犬に多く見られます。中高齢(8〜10歳以上)での発症が一般的です。
  • 猫さんでの発生: 犬さんに比べると稀ですが、高齢の猫さんで発生することがあります。
  • 好発部位: 血液が豊富に集まる臓器である脾臓(ひぞう)や心臓(右心房)、肝臓に多く発生します。また、皮膚や皮下組織に発生するタイプ(皮膚型)もあります。

2.原因

内臓(脾臓や心臓など)に発生する血管肉腫の明確な原因は、現在のところ解明されていません。しかし、特定の犬種に多く見られることから、遺伝的要因が強く関与していると考えられています。 一方、皮膚に発生するタイプに関しては、紫外線(太陽光)の長期間の曝露が発症リスクを高めることが分かっています。特に毛が薄く、皮膚の色が薄い犬さん(ウィペットなど)や白猫の腹部などの日光が当たりやすい部位に注意が必要です。

3.症状

血管肉腫の最も厄介な点は、腫瘍が破裂して出血するまで無症状であることが多い点です。

  • 内臓型(脾臓・心臓など): 腫瘍が大きくなり破裂すると、お腹の中(腹腔内)や心臓の周り(心膜腔内)で大出血を起こします。これにより、急激な元気消失、食欲不振、歯茎や舌などの粘膜が白くなる(貧血)、ふらつき、突然の虚脱(倒れる・失神)、お腹が膨れるといった症状が突然現れます。
  • 皮膚型: 皮膚の表面や皮下に、赤黒いしこりや出血を伴う腫瘤(しこり)ができます。

4.診断

正確な診断には、複数の検査を組み合わせます。

  • 血液検査: 貧血の有無や、血小板の減少、出血によって破壊された変形赤血球がないかを確認します。
  • 画像診断(レントゲン・超音波検査): エコー検査は特に重要で、脾臓の腫瘤や心臓周囲の液体の貯留(出血)、肝臓などの他臓器への転移を確認します。レントゲンでは肺への転移の有無をチェックします。
  • 細胞診・病理組織学的検査: 最終的な確定診断は、手術で摘出した腫瘍組織を顕微鏡で調べる病理検査によって行われます。血管肉腫は出血しやすいため、術前の針生検(細胞診)だけでは診断が難しいケースも多々あります。

5.治療

血管肉腫は転移性が非常に高いため、局所治療(手術)と全身治療(抗がん剤)を組み合わせるのが基本となります。

  • 外科手術: 脾臓の血管肉腫で破裂して出血している場合は、救命のための緊急手術(脾臓摘出術)が必要です。皮膚型の場合も、可能であれば広範囲に切除します。
  • 化学療法(抗がん剤): 手術で目に見える腫瘍を取り除いても、すでに目に見えない細胞レベルで転移していることがほとんどです。そのため、術後にドキソルビシンなどの抗がん剤治療を行い、生存期間の延長を目指します。
  • 緩和ケア・対症療法: 積極的な治療が難しい場合や、末期においては、痛み止め、止血剤、輸血などを行い、動物の苦痛を取り除きQOL(生活の質)を維持する治療を優先します。

6.予後

血管肉腫(特に内臓型)は極めて悪性度が高く、転移も早いため、予後は厳しいことが多いのが現実です。 脾臓の血管肉腫の場合、手術のみの生存期間は平均して1〜3ヶ月程度、手術と抗がん剤を組み合わせた場合でも4〜6ヶ月程度(あるいはそれ以上)と言われています。ただし、個体差があり、治療によく反応して1年以上穏やかに過ごせるケースもあります。 一方、皮膚の表面のみにとどまっている「皮膚型」であれば、完全切除ができれば予後は良好な場合が多いです。

7.予防

内臓型の血管肉腫に対する確実な予防法は、残念ながら現在ありません。しかし、皮膚型に関しては、日差しの強い時間帯の長時間の散歩を避ける、日光浴を控えるといった紫外線対策が有効です。 内臓型において最も大切なのは早期発見・早期治療です。特に好発犬種の中高齢期以降は、年に1〜2回の定期的な健康診断(血液検査だけでなく、超音波検査を含めること)を強くお勧めします。

8.まとめ

愛犬や愛猫が血管肉腫と診断された場合、ショックや不安で頭がいっぱいになってしまうかもしれません。しかし、現在の状態を正確に把握し、ご家族にとって、そして何より動物さん本人にとってどのような時間を過ごさせてあげたいかを獣医師としっかり話し合うことが大切です。定期的な健康診断でのエコー検査は、沈黙の腫瘍を見つけるための強力な武器となります。日頃からのスキンシップで体調の変化に気を配り、少しでも「いつもと違う」と感じたら、ためらわずに動物病院にご相談ください。

ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制

セカンドオピニオン設置

ハグウェル動物総合病院では、腫瘍疾患に直面した飼い主様と動物さんに、より良い選択をしていただけるよう セカンドオピニオン外来 (専門診療の腫瘍科、中津 央貴獣医師)を設けています。

腫瘍は種類や進行度によって治療方法が大きく異なり、外科手術・化学療法・放射線治療・緩和ケアなど多様な選択肢があります。そのため、診断や治療方針について複数の視点から検討することが大切です。

当院ではCTなどの高度画像診断を用い、腫瘍の性質や広がり、転移の有無を的確に把握したうえで、専門的な知見をもとに治療方針をご提案いたします。セカンドオピニオンを通じて、飼い主様が納得し、安心して治療に臨んでいただけることを第一に考えています。

横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。

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