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【吉川美南院】糖尿病だけではありません。犬猫さんの多飲多尿のお話

最近、犬猫さんが「水をよく飲むようになった」「おしっこの量が増えた」と感じることはありませんか。
痩せてないし、歳だし、そんなものかなと、そう思っていませんか。

お水をよく飲む、というのは病気が隠れているサインであることも少なくありません。

先日、糖尿病では多飲多尿がみられる、といった内容を掲載しました。
水をよく飲むし、もしかしたら糖尿病かも!?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実際には、多飲多尿の原因はさまざまで、腎臓の病気、ホルモンの病気、子宮の病気などでもみられます。

「水をよく飲んでいる気がする」だけでは判断が難しいこともあり、実際には飲水量を測ってみてその増加がわかる場合もあります。
今回は、犬猫さんの多飲多尿について、考えられる原因や注意したい症状、ご家庭で気をつけたいことまで解説します。

多飲多尿とは

多飲多尿とは、”水を飲む量が増えること(多飲)”と、”尿の量が増えること(多尿)”を指します。
この2つは一緒にみられることが多く、どちらか一方だけが目立ってみえる場合もあります。

たとえば、

  • 水皿の減りが早い
  • 給水機の補充回数が増えた
  • トイレの尿のかたまりが大きい
  • ペットシーツの交換回数が増えた
  • 以前より排尿回数が増えたように見える
  • 夜間や留守番中に粗相するようになった

といった変化が、飼い主さまが最初に気づくきっかけになります。

ただし、暑い時期や運動後、フードの種類の違いなどでも飲水量はある程度かわります。
そのため、「なんとなく増えた気がする」だけではなく、できれば実際に飲水量を測ってみることが大切です

犬猫さんの1日の正常な飲水量は
犬さん・・・体重1kgあたり約40〜60ml
猫さん・・・ 体重1kgあたり約20〜45ml
ですので、これを超えた量を1日で飲んでいる場合、異常を疑わなくてはいけません。

多飲多尿で考えられる主な原因

多飲多尿は、ひとつの病気を指す名前ではなく、さまざまな病気でみられる症状です。
代表的な原因には、以下のようなものがあります。

  • 慢性腎臓病
  • 糖尿病
  • 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
  • 子宮蓄膿症
  • 肝疾患
  • 高カルシウム血症
  • 尿崩症
  • 薬剤の影響
  • 心理的な要因

腎機能が低下すると尿を濃縮する機能が落ちてしまい、多尿とそれに伴う多飲が起こります。
また糖尿病では高血糖による浸透圧利尿が関与し、多飲多尿と体重減少がよくみられます。
犬さんの副腎皮質機能亢進症でも、多飲多尿は典型的な症状です。

犬さんで多い原因

慢性腎臓病

犬さんでは、腎臓の働きが落ちることで尿を濃くできなくなり、多尿と多飲が起こることがあります。
進行すると食欲低下、体重減少、嘔吐、元気消失などがみられることもあります。

糖尿病

糖尿病は、犬さんでも多飲多尿の重要な原因です。
水をよく飲む、おしっこが増える、食欲はあるのに痩せる、元気が落ちるといった症状がみられます。診断は持続する高血糖と尿糖の確認が基本です。
血糖値が高いままでいると、ミネラルバランスが乱れ、命に関わることもあります。

副腎皮質機能亢進症

いわゆるクッシング症候群です。副腎という臓器の機能が亢進し、ホルモンが過剰に産生される内分泌疾患です。
犬さんでは比較的よくみられ、多食、脱毛などがみられることがあります。

尿崩症

頻度は高くないですが、尿崩症でも強い多飲多尿がみられます。
脳の下垂体というところに異常があるものと、腎臓そのものに異常があるものがあります。
ただし、ほかの原因の方が一般的であり、診断には段階的な検査が必要です。

子宮蓄膿症

避妊手術をしていない犬さんでは、子宮蓄膿症も多飲多尿の原因として重要です。
子宮に細菌感染が起こり、炎症や細菌由来の毒素の影響で、結果的に多飲多尿を示します。
元気消失、食欲低下、陰部からの分泌物、嘔吐などを伴うこともあり、重症化すると命に関わることもあるため注意が必要です。

猫さんで多い原因

慢性腎臓病

猫さんでは、多飲多尿の背景として慢性腎臓病が非常に重要です。
高齢の猫さんでは非常に多い病気です。
初期には「水を飲む量が増えた」「尿が多い」程度でも、進行すると体重減少、食欲低下、毛づやの低下、嘔吐などがみられることがあります。

糖尿病

猫さんでも糖尿病は多飲多尿の代表的な原因です。
飲水量の増加、尿量の増加に加え、よく食べるのに痩せる、元気がない、被毛の状態が悪いなどがみられることがあります。猫ではストレスでも一時的に高血糖になることが多いので、それとの鑑別が重要です。

子宮蓄膿症

猫さんでも、避妊手術をしていないと子宮蓄膿症になります。
犬さんと同様、命に関わることがあるため、多飲多尿に加えて、元気がない、食欲が落ちたなど、体調不良を伴う場合は早めの受診が大切です。

そのほかの原因

猫さんでも肝疾患、電解質異常、尿崩症などが関与することがあります。
また、まれではありますが、心因性多飲が問題になることもあり、最終的には検査を重ねて鑑別していきます。

こんな症状があれば早めの受診を

多飲多尿だけでも受診をおすすめしたい症状ですが、次のような変化がある場合は、特に早めの受診が大切です。

  • 急に水を大量に飲むようになった。
  • 尿量が明らかに増えた
  • トイレの失敗が増えた
  • 食欲があるのに体重が減ってきた
  • 被毛のつやが悪い
  • お腹が張ってきた
  • 陰部から膿のような分泌物がある
  • ぐったりしている

ご家庭でできること

多飲多尿が気になるときは、次のようなことをしておくと、診察の助けになります。

  • 1日の飲水量を測る
  • 尿の回数や量の変化を記録する
  • 体重の変化をみる
  • 食欲や元気の変化をメモする
  • 飲んでいる薬やサプリを確認する
  • 可能なら尿の様子やトイレの写真を記録する

一方で、水を制限するのは危険です。
多飲多尿の背景に病気がある場合、水を飲めないことで脱水や状態悪化につながることがあります。

まとめ

犬猫さんの多飲多尿は、見逃されやすい一方で、腎臓病、糖尿病、内分泌疾患、子宮の病気などのサインであることがあります。
単なる「水をよく飲む体質」と決めつけず、変化が続く場合は原因を調べることが大切です。

特に、

  • 明らかに飲水量が増えた
  • 尿量が増えた
  • 体重が減ってきた
  • 元気や食欲が落ちている

といった場合は、早めの受診をおすすめします。
多飲多尿は、早期発見が治療につながる重要なサインです。

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