

【栄養管理科専門診療】佐藤 貴紀 獣医師
【担当科目】 循環器科、栄養管理科
冷え込む季節や、年齢を重ねてきた犬猫さんで「散歩の距離が減った」「ソファにジャンプしなくなった」「階段をためらう」といった変化はありませんか?
単なる「年のせい」で済まされがちなこれらのサイン、実は「関節の痛み」が原因であるケースが非常に多いのです。
今回は、犬猫さんで非常に多い関節疾患について、そして毎日のお食事からできる関節ケア(療法食)について詳しく解説します。
目次
1.犬猫さんに多い関節疾患とは?
犬猫さんの関節疾患には、生まれつきの骨格や外傷によるものなど様々な原因がありますが、代表的なものは以下の3つです。
- 膝蓋骨脱臼(パテラ)
トイ・プードルやチワワなど小型犬に非常に多い疾患です。膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置から外れてしまう状態で、スキップするような歩き方が特徴です。 - 前十字靭帯断裂
膝の関節を安定させている靭帯が切れてしまう病気です。中〜大型犬に多いですが、小型犬でも肥満や加齢によって引き起こされます。急に後ろ足を挙げてケンケンするなどの強い痛みを伴います。 - 変形性関節症(OA)
上記のパテラや靭帯損傷、あるいは加齢や肥満が引き金となり、最終的に慢性的な痛みを生み出すのがこの「変形性関節症」です。高齢の犬猫さんの多くが潜在的に抱えていると言われています。
2.変形性関節症(OA)はどのように起こる?
関節は通常、骨の先端を覆う「関節軟骨」と、潤滑油の役割をする「関節液」によってスムーズに動くよう守られています。
しかし、加齢や関節への過度な負担(肥満など)によって、この軟骨がすり減っていくと、骨同士が直接ぶつかり合うようになります。

引用:https://portal.v.royalcanin.jp/health-and-foods/arthritis/
すり減った軟骨は元には戻らず、骨の変形(骨棘の形成)や慢性的な炎症を引き起こし、強い痛みを伴うようになります。これが変形性関節症です。
特に猫さんは痛みを隠すのが上手なため、「ただ寝ている時間が増えただけ」と見過ごされがちなので注意が必要です。

引用:https://portal.v.royalcanin.jp/health-and-foods/arthritis/
3.毎日のごはんで関節を守る!おすすめの食事療法(療法食)
関節疾患の治療は「痛みのコントロール」と「体重管理(関節への負担軽減)」が基本となります。実は、毎日の「フード」を変えるだけで、お薬の量を減らせたり、痛みを和らげたりする大きな効果が期待できます。
当院で処方している、関節ケアに特化した代表的なフードブランドの製品をいくつかご紹介します。
1. ロイヤルカナン(ROYAL CANIN)
嗜好性が高く、関節の健康をサポートする独自の成分が配合されています。
- 犬さん用 関節サポート
ウコンエキスや加水分解コラーゲン、緑茶ポリフェノールなど、関節の炎症を抑え、軟骨の健康を維持するための成分が贅沢に配合されています。シニア期に入り、少し動きが鈍くなってきた子におすすめです。
2. ヒルズ(Hill’s Prescription Diet)
オメガ3脂肪酸(EPAなど)を高レベルで配合し、細胞レベルで関節の炎症にアプローチするのが得意なブランドです。
- 犬さん用 メタボリックス+モビリティ
ヒルズの最強の減量フード「メタボリックス」に、関節ケア成分をプラスしたものです。肥満は関節にとって最大の敵。体重を落としながら関節をケアしたい子に非常に人気があります。
- 猫さん用 メタボリックス ドライ
猫さんの関節疾患において、実は一番のケアになるのが「適正体重の維持(減量)」です。このフードは独自の食物繊維ブレンドにより、無理に食事量を減らさなくても満腹感を持続させながら健康的な減量ができます。「太り気味でジャンプしなくなった」という猫さんの、関節への負担軽減×体重管理の目的で当院でもよくお勧めしています
3. Dr’s(ドクターズケア)
日本の獣医師が監修し、日本の気候や生活環境、犬猫さんの好みに合わせて作られた国産の療法食ブランドです。
- 犬さん用 ウエイト&ジョイントケア
低カロリー設計で適正体重の維持をサポートしながら、グルコサミンやコンドロイチンを配合しています。国産ならではの安心感と、粒の食べやすさが特徴で、「海外のフードはどうも食べてくれない」という犬さんにぜひ試していただきたい製品です。 - 犬さん用・猫さん用 シニア(総合栄養食)
疾患というほどではないけれど、予防的にシニア期からの関節ケアを始めたい場合におすすめです。抗酸化成分と関節サポート成分がバランスよく配合されています。
最後に
関節疾患は、一度進行してしまうと元の状態に戻すことは難しい病気です。だからこそ、「太らせないこと」と「早期からのケア」が何よりも大切です。
「最近おもちゃで遊ばなくなった」「お散歩の途中で立ち止まる」など、ほんの些細なサインを見逃さず、気になったらいつでも当院にご相談ください。
その子にぴったりのフードやお薬を一緒に見つけていきましょう!
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