
「最近、猫が咳をしている気がする」
「毛玉を吐こうとしているけど、何もでてこない」
「ときどきゼーゼーと苦しそうに呼吸している」
こんなことありませんか?
猫喘息は、気管支に慢性的な炎症が起こることで、空気の通り道が狭くなり、咳や呼吸困難などを引き起こす病気です。
軽度ではときどき咳をする程度のこともありますが、重症化すると呼吸困難を起こし、緊急治療が必要になることもあります。
今回は、猫喘息について、どのような症状が見られるのか、どのように診断・治療していくのかを解説していきます。
目次
猫喘息とは?
猫喘息は、気管支に慢性的な炎症が起こることで、気管支が狭くなってしまう病気です。
空気の通り道ではる気管支に炎症が起こると、気管支の壁が腫れたり、粘液が増えたり、気管支を取り囲む筋肉が収縮したりします。
その結果、空気が通りにくくなり、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった呼吸音が鳴ったり、咳などの症状が出るようになります。
また、重症化してさらに気管支が狭くなると、呼吸困難にも至ります。
症状の程度には個体差があり、軽い咳をときどき繰り返す猫さんもいれば、突然強い呼吸困難を起こす猫さんもいます。
ヒトでも喘息という病気は耳にすると思いますが、まさにその喘息と同じような病態の疾患が、猫さんにもあるのです。
どんな症状がみられるの?
猫喘息では、次のような症状がみられます。
- 咳をする
- 「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と呼吸音がする
- 呼吸が速くなる
- 呼吸をするときにお腹を大きく動かす
- 首を伸ばして呼吸する
- 元気がない
- 口を開けて呼吸をする
特に注意したいのが、猫さんの咳は「毛玉を吐こうとしている仕草」と間違われやすいということです。
「毛玉を吐こうとしているけれど、なかなか出ない」と思っていたら、実は咳だったということがあります。
このような仕草を繰り返している場合には、一度動画を撮影しておくことをおすすめします。
診察室では症状が出ないこともあるため、ご自宅での動画が診断の大切な手がかりになることがあります。
どうして猫喘息になるの?
猫喘息では、吸い込んだ物質に対して気道が過敏に反応することが、炎症を引き起こす要因のひとつと考えられています。
症状を誘発・悪化させる可能性があるものとして、
- タバコの煙
- ほこり・ハウスダスト
- 花粉
- 香水・芳香剤
- スプレー類
- 猫砂から出る粉塵
などがあります。
ただし、実際には原因とひとつに特定できないことも少なくありません。
生活環境の中に症状を悪化させる要因がないかを確認し、可能な範囲で取り除いていくことも大切です。
どのように診断するの?
猫喘息は、ひとつの検査だけで確定できる病気ではありません。
症状や経過を確認したうえで、身体検査や画像検査などを組み合わせ、似た症状を示すほかの病気を除外しながら診断していきます。
胸部レントゲン検査
猫喘息では、胸部レントゲン検査で気管支の壁が目立って見えるなど、特徴的な変化が認められることがあります。
また、肺の過膨張などがみられることもあります。
ただし、レントゲン検査だけで猫喘息と断定できるわけではありません。
血液検査
全身状態を確認するとともに、ほかの病気が隠れていないかを調べます。
猫喘息では好酸球と呼ばれる白血球が増加することがありますが、必ず増えるわけではありません。
気管支肺胞洗浄(BAL)
必要に応じて、気管支の奥に少量の液体を入れて回収する「気管支肺胞洗浄」を行うことがあります。
回収した液体に含まれる細胞を調べることで、気道にどのような炎症が起きているのかを評価します。
また、感染症など、猫喘息と似た症状を示す病気を除外するためにも役立ちます
猫喘息と似た症状を示す病気
猫さんが咳をしているからといって、必ずしも猫喘息とは限りません。
例えば、
- 気管支炎
- 肺炎
- 寄生虫感染
- 腫瘍
- 心疾患
- 胸水貯留
などでも呼吸器症状がみられることがあります。
そのため、「咳をしているから喘息」と決めつけず、症状や検査結果を総合して判断することが大切です。
治療はどうするの?
猫喘息の治療では、気道の炎症を抑えることと、狭くなった気管支を広げることが重要です。
ステロイド
気道の炎症を抑えるために、ステロイドを使用することがあります。
内服薬として使用する方法のほか、吸入薬を使用する方法もあります。
吸入薬は専用の吸入器具を使って猫さんに薬を吸ってもらいます。気道へ直接薬を届けられるため、長期的な管理方法として選択されることがあります。
気管支拡張薬
気管支が狭くなっている場合には、気管支を広げて呼吸をしやすくする薬を使用することがあります。
ただし、気管支拡張薬だけでは気道の炎症そのものを十分に抑えられないため、症状に応じて抗炎症治療と組み合わせます。
強い呼吸困難がある場合は緊急です
猫喘息では、急激に気管支が狭くなり、強い呼吸困難を起こすことがあります。
特に、
- 口を開けて呼吸している
- 呼吸するときにお腹を大きく動かしている
- 首を伸ばして苦しそうに呼吸している
- 舌や歯ぐきの色がおかしい
- ぐったりして動けない
といった症状がある場合には、緊急性が高い可能性があります。
猫さんは呼吸が苦しい状態で無理に抱いたり動かしたりすると、さらに呼吸状態が悪化することがあります。
このような症状がみられる場合には、できるだけ興奮させず、速やかに動物病院へご相談ください。
ご家庭で気をつけたいこと
猫喘息は、一度治療すれば完全に終わるというよりも、症状をうまくコントロールしながら付き合っていく必要があるケースがあります。
ご家庭では、
- タバコの煙を避ける
- 香水や芳香剤、スプレー類の使用に注意する
- ほこりが舞いにくい猫砂を選ぶ
- 室内を清潔に保つ
- 咳の頻度を記録する
- 呼吸の様子がおかしいときは動画を撮影する
などを意識してみましょう。
また、安静にしているときの呼吸数を普段から確認しておくと、呼吸状態の変化に気づきやすくなります。
まとめ
猫喘息は、気管支に慢性的な炎症が起こり、咳や喘鳴、呼吸困難などを引き起こす病気です。
特に猫さんの咳は、「毛玉を吐こうとしている仕草」だと思われて見過ごされていることがあります。
「毛玉を吐こうとしているけれど何も出ない」
「最近、咳のような仕草が増えてきた」
「ときどきゼーゼーと呼吸している」
このような様子がみられる場合には、一度動物病院での診察をおすすめします。
また、口を開けて呼吸している、明らかに呼吸が苦しそうといった場合には、緊急性が高い可能性があります。
「これって咳なの?」「毛玉を吐こうとしているだけ?」と判断に迷う場合も、ぜひご相談ください。ご自宅で症状が出ているときの動画があれば、診察時にお見せください
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