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【獣医師が解説】うちの子は大丈夫?犬猫さんの心臓病のサインと、毎日の食事でできるケア

 

【栄養管理科専門診療】佐藤 貴紀 獣医師

【担当科目】 循環器科、栄養管理科

 

 

今回は、犬猫さんで非常に多い「心臓疾患」についてお話しします。

心臓病は、初期段階では症状がほとんど出ないサイレントキラーです。「最近寝ている時間が増えた」「咳をするようになった」といったちょっとした変化が、実は心臓からのSOSかもしれません。

今回は、犬猫さんで多い心臓病の病態と、治療において非常に重要な「食事(療法食)」について詳しく解説します。

犬さんで最も多い心臓病:「僧帽弁閉鎖不全症」

小型犬(チワワ、トイ・プードル、マルチーズ、キャバリアなど)の中高齢期に非常に多く見られるのが「僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)」です。

心臓は4つの部屋に分かれており、左心房と左心室の間にあるのが「僧帽弁」です。この扉(弁)が加齢とともに変性してうまく閉まらなくなり、血液が逆流してしまうのがこの病気です。

引用:https://portal.v.royalcanin.jp/health-and-foods/cardiac/

【主な症状】

  • 興奮時や夜間・早朝に「カハッ」「ケーン」といった乾いた咳をする
  • 散歩を嫌がるようになった、すぐ息切れる
  • 進行すると、肺に水が溜まる「肺水腫」を起こし、呼吸困難に陥る危険があります。

猫さんで最も多い心臓病:「肥大型心筋症」

一方、猫さんで圧倒的に多いのが「肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)」です。メインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘアなどで遺伝的な好発傾向がありますが、雑種(ミックス)の猫さんでも多く見られます。

この病気は、心臓の筋肉(特に左心室の壁)が内側に向かって異常に分厚くなってしまう病気です。部屋が狭くなるため、全身に十分な血液を送り出せなくなります。

【主な症状】

  • 犬さんと違い、猫さんの心臓病は咳が出にくいのが特徴です。
  • じっとしていることが多い、食欲が落ちるなどの曖昧なサイン。
  • 怖いのは、心臓内でできた血栓(血の塊)が血管に詰まる「動脈血栓塞栓症」です。突然、後ろ足が動かなくなり激痛を伴うなど、命に関わる緊急事態を引き起こします。

獣医師が解説!心臓ケアのための療法食

心臓病の管理には、お薬だけでなく「毎日の食事」が極めて重要です。心臓に負担をかけるナトリウム(塩分)を制限し、心筋の働きを助けるタウリンやオメガ3系脂肪酸(EPA/DHA)を配合した療法食を使用します。ただし、

心臓が大きくなっておらず、心雑音が聞こえるのみのステージB1では、療法食は必要ありません。以下、内容は、心臓が大きく、かつ肺水腫などになりやすい状態、もしくはなってしまっている状態の子が食べるご飯です。

当院で処方することの多い代表的な心臓ケア療法食を、メーカー別にご紹介します。

1. ロイヤルカナン (ROYAL CANIN)

嗜好性が高く、ステージに合わせたきめ細かいラインナップが特徴です。

  • 犬さん用 早期心臓サポート + 関節サポート
    初期の心疾患(まだはっきりとした症状が出ていないステージ)のワンちゃん向け。心臓だけでなく、シニア期に気になる関節ケア成分も配合されています。
  • 犬さん用 / 猫さん用 心臓サポート
    進行した心疾患向けに、しっかりとナトリウムを制限したごはんです。タウリンやL-カルニチンが豊富に配合されており、弱った心筋の働きをサポートします。

2. ヒルズ (Hill’s Prescription Diet)

科学的根拠に基づいた栄養バランスと、高血圧や腎臓への配慮に優れています。

  • 犬さん用 ダームディフェンス

ダームディフェンスに豊富に含まれる「オメガ-3脂肪酸」は、皮膚の炎症を抑える働きだけでなく、血管の健康維持や全身の抗炎症作用など、心血管系のサポートにおいても非常に重要な役割を果たします。そのため、皮膚疾患と心疾患を併せ持つ個体などにおいて、オメガ-3脂肪酸の持つ多面的なメリットが結果的に役立つ背景があります。また、軽度に低ナトリウム設計となっております。

  • 猫さん用 k/d(ケイディー)または 早期アシスト
    本来は腎臓ケア用ですが、心臓病と腎臓病は密接に関わり合っているため(心腎連関)、心機能の低下によって腎臓にも負担がかかっているケースで非常に重宝します。初期の心臓病にも推奨されます。

3. Dr’s Care (ドクターズケア)

日本の気候や生活環境、国産にこだわって作られている動物病院専用フードです。

  • 犬さん用 ハートケア
    初期の心臓疾患をサポートするため、ナトリウムを適度に制限。国産ならではの風味で、食欲が落ちてきたワンちゃんでもよく食べてくれることが多いです。
  • 猫さん用 キドニーケア(心臓にも配慮)
    Dr’sの猫さん用では腎臓用が主流ですが、リンやナトリウムが制限されているため、心疾患を持つ高齢猫さんのトータルケアとして処方することがあります。小粒で食べやすいのが特徴です。

最後に

心臓病は完治させることが難しい病気ですが、早期発見・早期治療、そして適切な「食事管理」を行うことで、その子らしい穏やかな生活を長く続けることが可能です。

「最近ちょっと様子が違うな?」と思ったら、お気軽に当院までご相談ください。聴診や超音波エコー検査で、痛みを伴わずに心臓の状態を確認することができます。フードのサンプルや選び方のご相談もお待ちしております!

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