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【横浜鶴ヶ峰院】「耳のニオイや汚れはSOSサイン!『外耳炎』から 愛犬・愛猫を守る方法」

 

【皮膚科専門診療】星野 友哉 獣医師

【担当科目】皮膚科

 

 

今回は、動物病院の診察室で最も多く遭遇するトラブルの一つである「外耳炎(がいじえん)」について、詳しくお話しします。

「よく頭を振っている」「耳から嫌なニオイがする」といった症状は決して見過ごしてはいけないサインです。外耳炎はなぜ起こるのか、どうすれば治るのか、一緒に学んでいきましょう。

1. 疫学(どんな子になりやすいの?)

外耳炎は、犬さんの1020%、猫さんの約26%が罹患すると言われている非常に一般的な病気です。猫さんよりも犬さんで圧倒的に多く見られます。

特に注意が必要なのは、以下のような特徴を持つ動物たちです。

  • 犬さんの好発品種: トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフンド、ゴールデン・レトリーバー、コッカー・スパニエル、フレンチ・ブルドッグなど。
  • 猫さんの好発品種: スコティッシュ・フォールドなど(耳が折れている猫種)。
  • 特徴: 垂れ耳、耳の中の毛が多い、耳道(耳の穴)が狭い、アレルギー体質の子。

2. 原因(なぜ外耳炎になるの?)

外耳炎の原因は単純ではなく、複数の要因が絡み合って発症・悪化します。獣医療ではこれを「PSPP分類」と呼び、4つの要素に分けて考えます。

  • 素因(なりやすい体質・構造): 垂れ耳、耳道の狭さ、耳の中の多毛、高温多湿な環境(日本の夏など)、過度な耳掃除による傷。
  • 主因(直接的な原因): 犬アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎や食物アレルギー(これが最も多いです)、耳ヒゼンダニなどの寄生虫、異物(植物の種など)、ホルモン異常。
  • 増悪因子(悪化させる要因): 細菌(ブドウ球菌、緑膿菌など)や真菌(マラセチアという酵母菌)の異常増殖。
  • 持続因子(治りにくくする要因): 慢性的な炎症による耳道の肥厚・狭窄(耳の穴が塞がってしまうこと)、中耳炎の併発、外耳道の病理組織学的変化(顕微鏡レベルの構造の変化)。

「細菌が繁殖しているから」というのはあくまで結果であり、その裏にはアレルギーなどの「根本的な原因(主因)」が隠れていることが多いのが外耳炎の特徴です。

3. 症状(こんなサインに要注意!)

犬猫さんは言葉で痛みを伝えられません。以下のサインを見逃さないようにしましょう。

  • 耳を後ろ足でしきりに掻く
  • 頭をパタパタと頻繁に振る
  • 耳や頭を床や家具にこすりつける
  • 耳垢が増える(黒い、茶色い、黄色っぽいなど)
  • 耳から悪臭(すっぱいニオイ、生乾きのニオイなど)がする
  • 耳の内側が赤く腫れている
  • 耳を触られるのを嫌がる、痛がって鳴く

4. 診断(動物病院では何をするの?)

動物病院では、原因を特定するために以下のような検査を行います。

  1. 視診・触診: 耳介(外側の耳)の赤みや腫れ、痛みの程度を確認します。
  2. 耳鏡検査: 特殊な器具(オトスコープなど)を使って、耳の奥(鼓膜の入り口まで)を観察し、異物やダニがいないか、鼓膜が破れていないかを確認します。
  3. 耳垢検査(細胞診): 耳垢を採取して顕微鏡で観察し、細菌、マラセチア(カビの仲間)、寄生虫、炎症細胞の種類と量を調べます。
  4. 細菌培養・薬剤感受性試験: 治りにくい場合、どんな細菌がいるのか、どの抗生物質が効くのかを調べる検査です。
  5. 基礎疾患の検査: アレルギーや内分泌疾患(甲状腺の病気など)が疑われる場合には血液検査などを行います。

5. 治療(どうやって治すの?)

外耳炎の治療は、「耳を清潔に保つこと」「原因を取り除くこと」の2本柱で行います。

  • 耳の洗浄: 専用のイヤークリーナーを使用し、耳の奥に溜まった耳垢や膿を優しく洗い流します。(家庭での綿棒を使った掃除は、汚れを奥に押し込んだり耳道を傷つけたりするためNGです!
  • 点耳薬の投与: 顕微鏡検査の結果に基づいて、抗生物質、抗真菌薬、抗炎症薬(ステロイド)が配合されたお薬を耳に直接入れます。最近では、1回の投与で効果が数週間持続するお薬もあります。
  • 全身治療: 症状が重い場合や耳を触らせてくれない場合は、内服薬(かゆみ止め、抗生物質など)を使用します。
  • 基礎疾患の治療: アレルギーが原因の場合には、食事療法やアレルギーの薬を並行して行わないと何度でも再発します。
  • 外科手術: 慢性化して耳道が石のように硬く塞がってしまった場合(耳道狭窄・石灰化)は、耳の穴を広げたり、耳の管を丸ごと取り除く手術(全耳道切除術)が必要になることもあります。

6. 予後(治るの?再発しない?)

早期に発見し、適切な治療を行えば、大部分の外耳炎は12週間で良くなります(予後良好)

アレルギーなどの基礎疾患がある場合、完全に治しきることは難しく、「上手にコントロールして付き合っていく」ことが目標になります。治療を途中でやめてしまったり、放置して慢性化させたりすると、中耳炎・内耳炎へと進行し、捻転斜頸(首が傾く)、顔面神経麻痺、ホルネル症候群(瞳孔の左右不対象)などの神経症状を起こす危険性があります。

7. 予防(飼い主様にできること)

外耳炎を防ぐためには、日頃のケアと観察が何よりも大切です。

  • 定期的な耳のチェック: スキンシップを兼ねて、週に12回は耳の中を覗き、ニオイや赤みがないか確認しましょう。
  • 正しい耳ケア: 汚れている時だけ、コットンに洗浄液を含ませて見える範囲(指が届く範囲)を優しく拭き取ります。綿棒は絶対に使用しないでください。
  • シャンプー後のケア: 水遊びやシャンプーの後は、耳の中に水が残らないように、コットンで優しく水分を吸い取ってあげましょう。
  • 耳の通気性を良くする: 垂れ耳で毛が多い犬種は、トリミングの際に耳の入り口の毛を短くカットしてもらうのも効果的です。

8. まとめ

外耳炎は、愛犬さん・愛猫さんの生活の質(QOL)を著しく低下させる、強烈な「かゆみ」と「痛み」を伴う病気です。「いつものことだから」と自己流のケアで済ませず、少しでも異常を感じたら、早めに動物病院を受診してください。

特に「繰り返す外耳炎」の裏には、アレルギーなどのSOSが隠れているかもしれません。獣医師と二人三脚で、その子の耳のトラブルの「本当の原因」を見つけ出し、快適な毎日を取り戻してあげましょう!

9.少し専門的なお話!

外耳炎は日常的な病気ですが、外耳炎の大きな原因のひとつは「不要な医療行為」です。外耳炎と診断され、耳の洗浄や抗生剤で治療されることが多くあります。しかしながら、耳は非常に繊細であり、実際には日常ケアは必要としない犬さん・猫さんがほとんどです。また、残念ながら外耳炎と誤診されるケースが多くあります。治療をしてもなかなか治らない耳のかゆみやニオイが続く場合には専門的な病院を受診することをおすすめします。

【皮膚科 セカンドオピニオン外来のご案内】

  • 曜日:毎週 月曜日・木曜日
  • 診療時間:10:00〜13:00、15:00〜18:00

ハグウェル動物総合病院では、皮膚疾患にお悩みの動物さんとご家族のために、皮膚科専門診療(担当:星野友哉獣医師)によるセカンドオピニオン外来を設けています。

皮膚疾患は「かゆみ」「脱毛」「赤み」など一見似た症状でも、その原因や進行度によって治療法が大きく異なります。アレルギー、感染症、ホルモン疾患、腫瘍など、複数の要因が関与するケースも少なくありません。

そのため当院では、問診・皮膚検査・細胞診・血液検査を活用し、病態を多角的に評価します。そのうえで、専門的な知見に基づき、現在の治療の見直しや新たな選択肢をご提案いたします。

「なかなか良くならない」
「診断や治療方針に不安がある」
「他の治療選択も知りたい」

このようなお悩みをお持ちの方に、納得と安心を提供することを大切にしています。

また、当院ではトリミング部門と連携し、薬浴やスキンケアまで一貫したサポートが可能です。治療だけでなく、日常管理まで含めた総合的な皮膚ケアをご提案いたします。

大切なご家族にとって最適な選択ができるよう、ぜひ一度ご相談ください。

横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。

ご予約・ご相談はお気軽に!

LINE・お電話(045-442-4370)・受付(動物病院総合受付)にて承ります♪

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