
【循環器診療】森山 寛大
【担当科目】総合診療科・循環器科
【循環器診療】佐藤 貴紀
【担当科目】総合診療科・循環器科・栄養管理科
1. 疫学
心筋症は、心臓の筋肉(心筋)自体に異常が起こり、心臓のポンプ機能が低下する病気です。犬さんと猫さんで発生しやすいタイプが大きく異なります。
- 犬さんの疫学
- 主に「拡張型心筋症(DCM)」が見られます。大型犬や超大型犬(ドーベルマン、ゴールデン・レトリバー、グレート・デーンなど)に多く、中高齢での発症が目立ちますが、遺伝的な要因がある場合は若齢で発症することもあります。
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猫さんの疫学
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圧倒的に多く見られるのが「肥大性心筋症(HCM)」です。全年齢の猫の10%〜15%が罹患しているとも言われ、特にメインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘア、ペルシャなどの純血種に好発します。
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2. 原因
心筋症の多くは、遺伝的な背景が深く関わっていると考えられています。
- 拡張型心筋症: 心筋の収縮力が弱まり、風船のように心臓が薄く大きく広がってしまいます。過去にはタウリンやカルニチンといった栄養素の不足が原因となることもありましたが、現在の市販フードでは、主に遺伝や特発性(原因不明)のものが大半を占めます。
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肥大性心筋症: 遺伝子の変異により、心臓の壁が内側に向かって厚くなってしまいます。その結果、心臓の中に血液を溜めるスペースが狭くなり、全身に十分な血液を送り出せなくなります。
3. 症状
心筋症の最も恐ろしい特徴は、進行するまで「ほとんど症状が出ない」という点です。
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犬さんの症状(拡張型心筋症など) 疲れやすくなる、散歩に行きたがらない、咳が出る、呼吸が荒い、お腹に水が溜まる(腹水)、突然失神する、といった症状が現れます。
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猫さんの症状(肥大性心筋症など) 犬さんよりも症状を隠すのが上手です。元気がなくなる、食欲が落ちる、呼吸が早い(1分間に40回以上)などの変化が見られます。また、心臓内で血の塊(血栓)ができやすく、それが後ろ足の血管に詰まる「大動脈血栓塞栓症」を突然発症すると、激しい痛みとともに後ろ足が動かなくなります。最悪の場合、何の前触れもなく突然死することもあります。
4. 診断
心筋症は一般的な聴診だけでは見落とされることが多いため、複数の検査を組み合わせて診断します。
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心エコー検査(超音波検査) :最も確実な診断方法です。心臓の壁の厚さ、部屋の大きさ、筋肉の動き、血流の異常をリアルタイムで確認します。
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レントゲン検査 :心臓全体の大きさや、肺水腫(肺に水が溜まる状態)になっていないかを評価します。
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心電図検査 :不整脈の有無を確認します。特に犬の拡張型心筋症では、危険な不整脈が潜んでいることが多いため重要です。
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血液検査(バイオマーカー) :「NT-proBNP」という心臓に負担がかかると増える数値を測定することで、心筋症の可能性をスクリーニングできます。
5. 治療
一度変化してしまった心筋を元の状態に戻すことはできません。治療の目的は「病気の進行を遅らせること」と「症状を和らげて生活の質(QOL)を維持すること」になります。
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内科療法 :心臓の負担を減らす血管拡張薬、余分な水分を体外に出す利尿薬、心筋の収縮を助ける強心薬、血栓を予防する抗血栓薬、不整脈を抑える薬などを、病期(ステージ)に合わせて組み合わせて生涯投与します。
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自宅でのケア :興奮や過度な運動を避け、塩分を控えた心臓用の食事管理を行います。また、室温を一定に保ち、心臓への負担を減らす環境づくりが必要です。
6. 予後
予後は、発見されたステージや治療への反応性によって大きく左右されます。
症状が出る前に早期発見できれば、投薬管理によって数年にわたり元気に過ごせるケースも増えています。しかし、すでに肺水腫を起こしていたり、猫さんで血栓症を発症してしまったりした後の予後は極めて厳しく、数日から数ヶ月単位のシビアな経過をたどることも少なくありません。そのため、いかに「無症状の段階で病気を見つけるか」が予後を分ける最大のポイントとなります。
7. 予防
遺伝的な要因が大きいため、確実に発症を防ぐ予防法は現在の獣医学にはありません。だからこそ「早期発見・早期治療」が最大の予防策となります。
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定期的な健康診断 :外見が元気であっても、年に1〜2回(シニア期はそれ以上)の健康診断を受けさせてあげてください。特に好発犬種・猫種の場合は、若いうちから心エコー検査や血液のバイオマーカー検査を健診項目に組み込むことを強くお勧めします。
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日常の観察 :自宅での「安静時の呼吸数」を数える習慣をつけましょう。寝ているときの呼吸が1分間に30回を超えて早くなっている場合は、心臓のSOSサインの可能性があります。
ハグウェル動物総合病院の体制
セカンドオピニオン設置
今回の咳か、くしゃみか、逆くしゃみかの判断がわからないケースなど、的確な診断が必要な場合は、ハグウェル動物総合病院の循環器科をご予約ください。症状に対して迅速な対応を行います。
必要な検査として身体検査、血液検査、心エコー検査、レントゲン検査、心電図検査、血圧検査などを実施して、原因を特定し適切な治療を行います。
早期発見をしながら、どのタイミングで、どの投薬が望ましいのか、循環器認定医としっかり相談し決定することをお勧めいたします。
また、専門診療の循環器科(森山 寛大 獣医師・佐藤 貴紀 獣医師)を設けているため、セカンドオピニオンの受け入れも行っております。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
ご予約・ご相談はお気軽に!
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