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【横浜鶴ヶ峰院】犬さんと猫さんのてんかん完全ガイド〜原因から治療、発作時の対応まで〜

 

 

【専門診療】中津  院長

【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科

 

愛犬や愛猫が突然バタバタと倒れ、泡を吹いて痙攣(けいれん)する姿を目の当たりにすると、どんな飼い主様でもパニックになってしまうものです。「このまま死んでしまうのではないか」と強い恐怖を感じたことでしょう。

しかし、「てんかん」は決して珍しい病気ではなく、正しく理解し、適切に付き合っていくことで、これまでと変わらない幸せな毎日を送ることができる病気でもあります。

今回は、犬さんと猫さんのてんかんについて、その正体から治療法、そしてお家での過ごし方まで、詳しく解説していきます。

1. 疫学(どれくらいの犬猫がなるの?)

てんかんは、動物の神経疾患の中で最も一般的なもののひとつです。

  • 犬さん: 全体の約 1〜5% が発症すると言われており、決して珍しくありません。特に、ビーグル、ダックスフンド、ゴールデン・レトリーバー、ボーダー・コリーなどの犬種では、遺伝的な要因が関与していることが多いとされています。
  • 猫さん: 犬に比べると発生率は低く、約 1〜3% 程度と言われています。猫の場合は、何らかの基礎疾患(脳の異常など)が原因で起こるケースが多い傾向にあります。

2. 原因(なぜ発作が起きるの?)

てんかんは、脳の神経細胞が突然異常な興奮を起こすことで発生します。その原因は大きく3つに分けられます。

  • 特発性てんかん: 脳の構造に異常がなく、血液検査などでも原因が見つからないタイプです。遺伝的な背景があると考えられており、若い年齢(生後6ヶ月〜6歳頃)で発症することが多いです。犬さんのてんかんで最も多いのがこのタイプです。
  • 構造的てんかん(症候性てんかん): 脳腫瘍、脳炎、脳梗塞、水頭症、外傷など、脳に明らかな異常やダメージがあることが原因で起こります。高齢になってから初めて発作を起こした場合は、この可能性が高くなります。
  • 反応性発作: 脳そのものではなく、体の別の場所の異常(重度の低血糖、肝臓や腎臓の病気、中毒など)によって引き起こされる発作です。※厳密には「てんかん」とは区別して扱われますが、症状は似ています。

3. 症状(どんな様子になるの?)

発作の症状は様々ですが、大きく分けて「全身性」と「焦点性(部分性)」があります。

  • 全身性発作: 突然意識を失い、全身が硬直してバタバタと手足を動かしたり、口から泡を吹いたり、失禁したりします。通常は数秒から数分で治まります。
  • 焦点性発作: 脳の一部だけが興奮するため、顔の一部だけがピクピク引きつる、片手だけをバタつかせる、ハエを噛むような仕草をするなど、局所的な症状が出ます。意識がある場合もあります。

💡 獣医師からのアドバイス:発作のステージ 発作には「前兆(そわそわする、隠れる)」「発作(けいれん等)」「発作後(ぼーっとする、目が見えていないように歩き回る、食欲増進)」の3つのステージがあります。発作後、普段の様子に戻るまでに数時間〜数日かかることもあります。

4. 診断(どうやって調べるの?)

てんかんの診断は「除外診断」と言って、他の病気ではないことを一つずつ証明していく作業になります。

  1. 問診・身体検査・神経学的検査: いつ、どんな状況で、どのくらい発作が続いたかを詳しくお聞きします。
  2. 血液検査・尿検査: 反応性発作(内臓の異常や低血糖など)を除外します。
  3. MRI検査・脳脊髄液検査: 脳に腫瘍や炎症などの構造的な異常がないかを確認します。全身麻酔が必要になります。

これらすべての検査で異常が見つからなかった場合、初めて「特発性てんかん」と診断されます。

5. 治療(どうやって治すの?)

てんかん治療の最大の目標は、「病気を完全に治すこと」ではなく、「お薬で発作の回数や程度をコントロールし、生活の質(QOL)を維持すること」です。

  • 抗てんかん薬の投薬: フェノバルビタール、臭化カリウム、レベチラセタム、ゾニサミドなどのお薬を、その子の状態に合わせて処方します。
  • 外科治療・食事療法: 脳腫瘍が原因の場合は手術や放射線治療が検討されます。また、近年では特定の栄養素を調整した療法食が、発作のコントロールをサポートすることが分かってきています。

⚠️ 重要: 自己判断でお薬を減らしたり止めたりすると、リバウンドで重篤な発作(てんかん重積状態)を引き起こす危険があります。必ず獣医師の指示に従ってください。

6. 予後(これからの生活はどうなるの?)

  • 特発性てんかんの場合: 適切にお薬でコントロールができれば、健康な子と同じように天寿を全うすることが十分に可能です。生涯にわたる投薬が必要になることがほとんどですが、病気と上手に付き合っていくことができます。
  • 構造的てんかんの場合: 原因となっている病気(脳腫瘍など)の進行具合によって予後は大きく異なります。
  • 中には、複数のお薬を使っても発作が抑えきれない「難治性てんかん」の子もいますが、獣医師と連携してその子にとって最善の治療法を探していきます。

7. 予防(お家で気をつけることは?)

特発性てんかんそのものを予防することはできませんが、「発作の引き金(トリガー)を避ける」ことは可能です。発作の引き金は子によって異なりますが、以下のようなものが挙げられます。

  • 強いストレスや興奮(来客、雷、花火、長時間の留守番など)
  • 睡眠不足や極度の疲労
  • 天候や気圧の急激な変化

日頃から愛犬・愛猫の様子をよく観察し、「どんな時に発作が起きやすいか」を記録(てんかんノート)しておくことが、コントロールの大きな助けになります。

おわりに:発作が起きたら、飼い主様にお願いしたいこと

愛犬・愛猫が発作を起こしたとき、飼い主様がしてあげられる一番のケアは「冷静に見守り、記録すること」です。

  1. 触らない、抱きしめない: 無意識に噛まれてしまう危険があります。
  2. 安全の確保: 周りの家具などを退け、ケガをしないようにします。階段などからは遠ざけてください。
  3. 時間を測り、動画を撮る: 発作が何分続いたか、どんな動きをしていたかの記録は、獣医師にとって非常に重要な診断材料になります。スマートフォンで動画を撮影してください。

もし発作が5分以上続く、あるいは意識が戻らないうちに次の発作が起きる場合は、命に関わる危険な状態です。夜間であっても、すぐに動物病院へ連絡してください。

てんかんは、飼い主様と獣医師の二人三脚で向き合っていく病気です。不安なこと、わからないことがあれば、いつでもかかりつけの動物病院にご相談ください。一緒に、大切なご家族の穏やかな毎日を守っていきましょう。

ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制

セカンドオピニオン設置

神経症状に対して迅速な対応を行います。

必要な検査として神経学的検査(反応・歩様など)、血液検査、CT(脳構造評価)、(理想的には)脳波検査、CSF(髄液)検査、MRI検査を実施して、原因を特定し適切な治療を行います。

特に「けいれん」「発作」「失神」などのケースでは、的確な診断が非常に重要です。

また、専門診療の神経科(中津 央貴獣医師)を設けているため、セカンドオピニオン、さらには繰り返すけいれん発作など、治りが悪い症状の受け入れを行っております。

横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。

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