

【専門診療】中津 院長
【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科
副腎腫瘍は犬さんで比較的よく見られる内分泌系腫瘍の一つです。副腎は左右の腎臓の前方に存在する小さな臓器ですが、体にとって非常に重要なホルモンを分泌しています。そのため腫瘍が発生すると、ホルモン異常による全身症状や、腫瘍そのものの増大による問題が起こることがあります。特に高齢犬で発見されることが多く、健康診断の画像検査で偶然見つかることも少なくありません。
以下では、副腎腫瘍の種類、原因、症状、診断、治療について詳しく解説します。
目次
副腎とはどのような臓器か
副腎は左右の腎臓の前方に位置する小さな内分泌臓器で、外側の皮質と内側の髄質から構成されています。それぞれ以下のホルモンを分泌します。
副腎皮質
・コルチゾール(ストレスホルモン)
・アルドステロン(電解質バランス調整)
・性ホルモン
副腎髄質
・アドレナリン
・ノルアドレナリン
これらは血圧、代謝、免疫、ストレス反応など生命維持に重要な働きを担っています。
副腎腫瘍の種類
犬さんの副腎腫瘍は大きく以下のタイプに分類されます。
- 副腎皮質腫瘍
副腎皮質から発生する腫瘍で、犬さんで最も多いタイプです。 - 副腎皮質腺腫
良性腫瘍。ホルモンを分泌するものとしないものがあります。 - 副腎皮質癌
悪性腫瘍。周囲組織や血管に浸潤し、肺や肝臓へ転移することがあります。機能性腫瘍の場合はコルチゾールを過剰に分泌し、クッシング症候群の原因となります。 - 褐色細胞腫
副腎髄質から発生する腫瘍で、アドレナリンなどのカテコールアミンを過剰に分泌します。血圧上昇や突然の虚脱などを起こすことがあります。血管浸潤が起こりやすく、外科手術の難易度が高い腫瘍です。
副腎腫瘍の原因
明確な原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関係すると考えられています。
- 加齢
副腎腫瘍は中高齢犬で多く発生します。 - 遺伝的素因
特定犬種で発生率が高い傾向があります。 - 慢性的なホルモン刺激
ACTHなどによる長期刺激が関与する可能性が指摘されています。 - 偶発的な細胞変異
腫瘍の多くは遺伝子変異による細胞増殖異常と考えられています。
よく見られる症状
副腎腫瘍の症状は、ホルモンを分泌するかどうかで大きく異なります。
クッシング症候群を伴う場合
・多飲多尿
・食欲増加
・腹部膨満(ポットベリー)
・脱毛
・皮膚が薄くなる
・筋肉量の低下
・感染症が増える
褐色細胞腫の場合
・高血圧
・突然の虚脱
・呼吸促迫
・不整脈
・落ち着きがなくなる
腫瘍が大きくなると
・腹部腫瘤
・血管圧迫
・後大静脈への浸潤
などが起こることもあります。
診断方法
副腎腫瘍の診断では、腫瘍の有無だけでなくホルモン分泌の有無や悪性度の評価が重要になります。
- 血液検査
・ALP上昇
・コレステロール上昇
・肝酵素上昇
- ACTH刺激試験
副腎皮質機能亢進症の診断に使用 - 低用量デキサメタゾン抑制試験
- 画像診断
腹部超音波検査:副腎の大きさや腫瘍の有無を確認 - CT検査
手術計画に非常に重要
・腫瘍サイズ
・血管浸潤
・転移の有無
特に後大静脈への浸潤の有無は手術適応の判断に重要です。
治療
治療は腫瘍の種類や進行度により選択されます。
- 外科手術
副腎摘出術が根治的治療となります。特に副腎皮質腫瘍では手術で長期生存が期待できます。
ただし以下の理由で難易度の高い手術です。
・大血管に隣接
・出血リスク
・血管浸潤
高度医療施設での手術が推奨されるケースも多くあります。
- 内科治療
クッシング症候群を伴う場合
トリロスタンやミトタンの内服などの薬剤によりコルチゾール産生を抑制します。
手術適応でない場合の管理として用いられます。
予後
予後は腫瘍の種類と進行度により大きく異なります。
- 副腎皮質腺腫
手術により良好な予後 - 副腎皮質癌
転移や血管浸潤があると予後不良 - 褐色細胞腫
手術成功例では長期生存も可能
早期発見が非常に重要です。
早期発見の重要性
副腎腫瘍は初期には症状が目立たないことも多く、健康診断の画像検査で見つかるケースが増えています。
特に以下の犬さんでは注意が必要です。
・7歳以上のシニア犬
・多飲多尿がある
・お腹が膨らんできた
・皮膚や毛の変化
これらの症状がある場合は早めの検査が推奨されます。
副腎腫瘍は適切な診断と治療によりコントロールできるケースも多い疾患です。近年はCT検査や外科手術の進歩により治療成績も向上しています。愛犬の健康を守るためにも、定期的な健康診断と早期発見がとても重要です。
ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制
セカンドオピニオン設置
ハグウェル動物総合病院では、腫瘍疾患に直面した飼い主様と動物さんに、より良い選択をしていただけるよう セカンドオピニオン外来 (専門診療の腫瘍科、中津 央貴獣医師)を設けています。
腫瘍は種類や進行度によって治療方法が大きく異なり、外科手術・化学療法・放射線治療・緩和ケアなど多様な選択肢があります。そのため、診断や治療方針について複数の視点から検討することが大切です。
当院ではCTなどの高度画像診断を用い、腫瘍の性質や広がり、転移の有無を的確に把握したうえで、専門的な知見をもとに治療方針をご提案いたします。セカンドオピニオンを通じて、飼い主様が納得し、安心して治療に臨んでいただけることを第一に考えています。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
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