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【獣医師監修】おしっこが出ないのは緊急です:尿閉(尿道閉塞)の危険性

目次

腎泌尿器科

 

【腎泌尿器科診療】室 卓志 獣医師

【担当科目】総合診療科・腎泌尿器科・消化器科

 

1. 「尿が出ない」は、命に関わるサインです

犬猫さんが「おしっこをしたいのに出ない」状態は、単なる膀胱炎や一時的な体調不良ではなく、命に関わる緊急事態であることがあります。

特に、尿道が詰まってしまい尿が全く出なくなる状態を尿閉(にょうへい)、または尿道閉塞(にょうどうへいそく)と呼びます。

この状態が続くと、体の中に毒素がたまり、腎臓が急激にダメージを受け、数時間〜1日程度で急変することもあります。

「明日病院に行こう」では間に合わない可能性があるため、飼い主さんが早期に気づき、すぐに受診できるかがとても重要です。

2. 尿閉(尿道閉塞)とは何か

尿閉とは、膀胱に尿がたまっているのに、尿が外に出せない状態です。

原因は大きく2つあります。

  • 尿道が物理的に詰まっている(尿道閉塞)
  • 痛みや神経の異常で排尿ができない(機能的尿閉)

このうち特に緊急性が高いのが、尿道閉塞です。

3. なぜ尿道閉塞が危険なのか(体の中で起きていること)

尿が出ないと、体の中では次のようなことが起こります。

①膀胱がパンパンに膨らむ

尿が作られ続けるため、膀胱が過度に伸びてしまいます。膀胱の壁は筋肉でできており、伸びすぎると収縮できなくなることがあります。

つまり、閉塞を解除しても「膀胱が働かない」という状態が残ってしまうこともあります。

②腎臓に圧がかかり、急性腎障害が起きる

尿が出ないと、腎臓から膀胱へ尿を流すルート(尿管・腎盂)にも圧がかかります。

これが腎臓に負担となり、短時間で急性腎障害につながります。

③カリウムが上がり、心臓が止まる危険がある

特に猫さんの尿道閉塞で非常に重要なのが『高カリウム血症』です。

尿が出ないと、体内のカリウムが排泄されず、血液中のカリウムが急上昇します。

カリウムは心臓の電気的な働きに深く関わるため、上がりすぎると不整脈が起こり、最悪の場合、突然死のリスクもあります。

飼い主さんから見ると「元気がない」程度に見えることもあるため、ここがとても怖い点です。

4. どんな子がなりやすい?

猫さんで圧倒的に多い

尿道閉塞は猫さんで特に多い緊急疾患です。

特に以下の傾向があります。

・オス猫(尿道が細く長い)

・去勢済みオス(体格が大きく、尿道が相対的に細いことがある)

・室内飼い

・肥満

・飲水量が少ない

・ストレスが多い

・過去に膀胱炎を繰り返している

犬さんでも起こる

犬さんの場合は猫さんほど頻度は高くありませんが、以下で起こり得ます。

・尿路結石(特にストルバイト、シュウ酸カルシウム)

・前立腺疾患(オス犬)

・腫瘍

・重度の膀胱炎

・外傷

犬さんの場合は、尿道が詰まるだけでなく、膀胱破裂などの重篤なケースもあるため油断はできません。

5. 飼い主さんが気づける「尿閉のサイン」

尿閉は、初期は膀胱炎に見えることが多いです。

以下のような症状があれば要注意です。

尿が出ない・出ても数滴だけ

・トイレに何度も行くのに出ない

・出てもポタポタ、数滴

・砂をかくのに尿の塊がない

排尿姿勢を何度も取る

・短時間で何回もトイレへ

・外で何度もマーキングのような姿勢をする

鳴く、痛がる、落ち着かない

・排尿時に鳴く

・ソワソワして眠れない

・お腹を触ると嫌がる

元気がない、食欲がない、吐く

これは危険なサインです。

尿毒症や高カリウム血症が進行している可能性があります。

6. これは特に危険!すぐ受診してほしいケース

次のような場合は、迷わず緊急受診が必要です。

・丸1日(12時間以上)尿が出ていない

・尿が全く出ない

・吐いている

・ぐったりしている

・呼吸が荒い

・意識がぼんやりしている

・お腹が硬く張っている

夜間であっても、救急対応が必要になることがあります。

7. 家でできること、やってはいけないこと

尿閉が疑われる時、飼い主さんが家でできることは限られます。

家でできること

・トイレに行った回数、尿の量を確認

・可能なら動画を撮る(排尿姿勢、鳴く様子など)

・飲水量や食欲、嘔吐の有無をメモする

・いつから尿が出ていないかを記録する

絶対にやってはいけないこと

・お腹を強く押して尿を出そうとする

→膀胱が破裂する危険があります。

・人の痛み止めを飲ませる

→中毒を起こし命に関わります。

・「膀胱炎だろう」と自己判断して様子を見る

→尿道閉塞だった場合、時間が命を左右します。

8. 病院では何をするの?(診断と治療の流れ)

尿閉が疑われる場合、動物病院では次のような流れで対応します。

①まず状態の安定化

特に猫さんでは、到着時点でショック状態や高カリウム血症の可能性があるため、

・血液検査

・心電図

・点滴

・鎮痛

などを優先することがあります。

②膀胱に尿が溜まっているか確認

触診や超音波検査で膀胱の大きさを確認します。膀胱が大きく張っている場合は、尿閉の可能性が高いです。

③尿道閉塞の解除(カテーテル)

閉塞が疑われる場合は、鎮静や麻酔をかけて尿道カテーテルを入れ、閉塞物を解除します。この処置が成功すると、尿が勢いよく出て膀胱が減圧されます。

④原因の確認

閉塞物の正体は様々です。

・結晶や結石

・粘液栓(猫で多い)

・炎症による腫れ

・腫瘍

原因によって再発率や今後の管理が変わるため、尿検査、超音波、レントゲンなどを組み合わせて確認します。

9. 尿道閉塞は「解除できたら終わり」ではありません

ここがとても重要なポイントです。

尿道閉塞は解除できても、その後に次のような問題が起こることがあります。

①再閉塞(特に48時間以内)

特に多く、処置後すぐに再び詰まることがあります。そのため、入院して尿道カテーテルを数日留置し、点滴管理を行うことがあります。

②膀胱の機能低下

膀胱が伸びすぎると、尿が出せなくなることがあります。

③腎障害の悪化

閉塞が解除されても、腎臓がダメージを受けている場合は回復に時間がかかります。

④電解質異常

高カリウム血症の是正や、点滴によるバランス調整が必要です。


10. 再発予防がとても大切です

尿道閉塞は、一度起こすと再発しやすい疾患です。

特に猫さんでは、体質・ストレス・飲水量などが絡むため、長期的な予防管理が重要になります。

猫さんの予防のポイント

・飲水量を増やす(ウェットフードの活用など)

・トイレ環境を整える(数、場所、清潔さ)

・ストレスを減らす(多頭飼育、騒音、来客など)

・体重管理

・再発リスクが高い場合は療法食を検討

・定期的な尿検査

・食事の見直し

犬さんの予防のポイント

・結石タイプに応じた食事管理

・飲水量の確保

・定期的な尿検査

・前立腺疾患がある場合は治療継続

11. 最後に:尿が出ない時、飼い主さんが一番大切にしてほしいこと

尿道閉塞は、飼い主さんが早く気づき、すぐに受診することで救える命が多い疾患です。

一方で、見た目が「ただの膀胱炎」に見えることも多く、受診が遅れると急変する怖さがあります。

もし

「尿が出ていないかも」

「トイレに何度も行く」

「苦しそう」

そう感じたら、どうか様子見にせず、動物病院へご相談ください。犬猫さんの体は小さく、尿が出ない状態に耐えられる時間は想像以上に短いのです。

ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制

セカンドオピニオン設置

下部尿路疾患の症状に対して迅速に対応し、必要な検査(血液検査・尿検査・レントゲン・超音波・CT検査など)を実施して、原因を特定し適切な治療を行います。

特に「頻尿」「血尿」「尿が出ない尿閉」などのケースでは、早期の処置が非常に重要です。

また、専門診療の腎泌尿器科(室 卓志獣医師)を設けているため、セカンドオピニオン、さらには重症化した下部尿路疾患や慢性腎臓病など、長期的なケアが必要なケースの受け入れを行っております。

横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。

 

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