
「最近よく食べるのに痩せてきた」「落ち着きがなくなった」
中高齢の猫さんと暮らしていて、こう感じることはありませんか。
もしかしたらそれ、甲状腺機能亢進症かもしれません。
甲状腺機能亢進症は、猫さんでは比較的よくみられる内分泌疾患のひとつです。
今回は、猫さんの甲状腺機能亢進症について、どのような病気なのか、どんな症状がみられるのか、どのように診断し、どんな治療法があるのかを解説します。
目次
甲状腺機能亢進症とは
甲状腺は、首のあたりにある小さな臓器で、体の代謝を調整する甲状腺ホルモンを分泌しています。
このホルモンは、体温、心拍、エネルギー消費、消化管の動きなど、全身のさまざまな働きに関わっています。
甲状腺機能亢進症は、この甲状腺ホルモンが必要以上に多く作られてしまう病気です。
ホルモンが過剰になると、体は常にアクセルを踏み続けているような状態になり、見た目には元気そうに見えても、体には大きな負担がかかっています。
猫さんでは比較的よくみられる病気で、特に中高齢の猫さんで注意が必要です。
進行すると心臓に影響を及ぼすことがあるため、早めに気づいて対応することが大切です。
どんな症状がみられるの?
以下の症状がよく認められます。
- 食欲が増える
- よく食べるのに痩せる
- 水をよく飲む
- よく鳴く。落ち着きがない
- 嘔吐
- 下痢
- 毛づやが悪くなる
特に、よく食べるのに体重が減っていくという変化は、とても重要なサインです。
一見すると元気に見えることもありますが、実際には、体の中ではエネルギーがどんどん消費されていて、筋肉量や体重が落ちていきます。
また、すべての子が典型的に「元気で食欲旺盛」になるわけではありません。
進行した症例では、逆に食欲低下やぐったりした様子が前面に出ることもあります。
どうして起こるの?
猫さんの甲状腺機能亢進症は、多くの場合、甲状腺の過形成や腺腫によって起こります。
つまり、甲状腺の組織が増えたり、できもののように大きくなったりすることで、甲状腺ホルモンが過剰に作られるようになります。
悪性腫瘍が原因になることもありますが、甲状腺機能亢進症のうち5%程度と、頻度としては多くはありません。
多くの猫さんでは、片側または両側の甲状腺に良性の変化が起きていると考えられています。
原因そのものが完全に解明されているわけではありませんが、年齢や体質、環境因子などが関わっていると考えられています。
動物病院で行う検査
身体検査
診察では、体重の変化、心拍数の増加、脱水の有無などを確認します。
また、首のあたりを触ったときに、腫大した甲状腺が触知できることもあります。
血液検査
診断の基本になるのが、“T4(サイロキシン)濃度”の測定です。
多くの症例では、T4濃度が高値になることで甲状腺機能亢進症が疑われます。
ただし、一度の検査でT4濃度の上昇が確認できないこともあります。
そのため、甲状腺機能亢進症を疑うような所見があれば、後日にT4濃度を再検査するか、”遊離サイロキシン( fT4)”の測定を追加することもあります。
併発疾患の確認
甲状腺機能亢進症では、心臓や血圧に影響が出ることがあります。
そのため、心臓のエコー検査を行ったり、血圧測定を行うことがあります。
また、実はすでに腎機能が低下している猫さんが、血液検査上は腎数値が正常に見えてしまうことがあります。
そのため、治療を始めると、隠れていた腎疾患が明らかになることもあります。
また、高血圧の影響で眼内出血・網膜剥離に至る猫さんもいます。目の出血をきっかけに甲状腺機能亢進症が見つかるケースもあります。
治療はどうするの?
猫さんの甲状腺機能亢進症には、いくつかの治療法があります。
どの方法が適しているかは、年齢、全身状態、併発疾患、ご家庭での管理のしやすさなどを踏まえて選択していきます。
抗甲状腺薬
最も一般的な治療は、抗甲状腺薬による内科治療です。
甲状腺ホルモンの合成を抑えることで、症状の改善を目指します。
飲み薬として継続することが多く、まずはこの方法で体の反応や腎数値の変化をみることもあります。
ただし、継続的な投薬と、定期的な血液検査が必要になります。
また、抗甲状腺薬を投薬していても頻脈や高血圧がある症例では、心拍数を抑える薬や、血圧を下げる薬を併用することもあります。
甲状腺摘出
外科手術で甲状腺を摘出する方法です。
投薬が困難、または投薬していてもコントロールが難しい症例で選択肢に上がります。
術後はホルモンが過度に下がっていないかを確認する必要があります。
こんなときは早めの受診を
次のような変化がある場合は、早めの受診をおすすめします。
- よく食べるのに痩せてきた
- 水を飲む量が増えた
- 落ち着きがなくなった
- よく鳴くようになった
- 嘔吐や下痢が続く
- 毛づやが悪くなった
- 心拍が速いと言われた
- 高齢になってから体重が減ってきた
特に中高齢の猫さんで、食欲があるのに体重が減る場合は重要なサインです。
「年のせいかな」と思って見過ごされることもありますが、甲状腺機能亢進症が隠れていることがあります。
まとめ
猫さんの甲状腺機能亢進症は、中高齢でよくみられる内分泌疾患のひとつです。
代表的な症状は、よく食べるのに痩せる、多飲多尿、活動性の変化、嘔吐などです。
一見すると元気そうに見えることもありますが、体の中では心臓に負担がかかっていることもあります。
そのため、早めに見つけて適切な治療につなげることが大切です。
「最近よく食べるのに痩せてきた」
「シニアになってから落ち着きがなくなった」
そのような変化がある場合は、どうぞ早めにご相談ください。
甲状腺機能亢進症は、検査と治療によって体調の改善が期待できる病気です。
ハグウェル動物総合病院 吉川美南院の体制
ハグウェル動物総合病院 吉川美南院では、健康診断を通年で実施しており、病気の早期発見・早期治療に力をいれています。
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