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【獣医師監修】犬さんがなりやすい腫瘍疾患(症状と診断)まとめ

 

 

【専門診療】中津  院長

【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科

 

獣医腫瘍学の総論(Withrow & Vail’s Small Animal Clinical Oncology など)に基づいて、犬さんと猫さんで発生頻度が高く、臨床的に重要とされる腫瘍疾患を以下に抜粋してまとめます。

犬さんの代表的な腫瘍

1. 皮膚型肥満細胞腫(Mast Cell Tumor, MCT)

肥満細胞腫(Mast Cell Tumor: MCT)は、皮膚や皮下にできることが多い代表的な悪性腫瘍で、症状や見た目が多様です

症状

1.皮膚・皮下の腫瘤

  • 最も多い部位は 体幹、四肢、会陰部です
  • 大きさ・形・硬さがさまざまで、「しこり」として気づかれることが多いです
  • 一つだけでなく、複数発生することもあります

 

2. 見た目の変化

  • しこりは 赤く腫れる・潰瘍化・びらん を起こすことがあります

 

3. ダリエ徴候

  • 腫瘍を刺激すると肥満細胞から ヒスタミン・ヘパリン などが放出され、急激な腫脹・赤み(膨疹)・かゆみが一時的に出ることがあります

 

4. 全身症状(進行例や全身型)

  • 食欲不振・嘔吐・下痢(ヒスタミン過剰分泌による胃潰瘍)
  • 黒色便(消化管出血)
  • 元気消失、体重減少
  • 脾臓・肝臓・リンパ節への転移で臓器腫大

診断法

1.細胞診(穿刺吸引細胞診:FNA)

  • 最も迅速かつ非侵襲的な方法です

  • 特徴的な紫色の顆粒を持つ円形細胞(肥満細胞)が観察されます

2.組織生検+病理診断

  • 麻酔下により切除を行い、グレード分類(PatnaikまたはKiupel)によって予後や治療方針が決まります

  • 境界明瞭な腫瘍でも、深部浸潤の評価が不可欠です

3.ステージ評価(全身転移の確認)

  • 血液検査・胸腹部X線・腹部超音波・CT検査により転移の有無を確認します

  • 所属リンパ節の細胞診を行うこともあります

2. リンパ腫(Lymphoma)

リンパ腫(Lymphoma)は、リンパ球が腫瘍化する悪性腫瘍で、犬さんに多く発生するがんのひとつです。臨床的には多中心型が最も多く、全身の臓器に影響を及ぼす可能性があります。

症状

1. 全身型(多中心型:最も一般的)

  • 全身の表在リンパ節(頸部・下顎・膝窩・腋窩・鼠径など)の腫大によりしこりが左右対称に触れることが多い、発熱、倦怠感、元気消失、食欲不振、体重減少、脾腫・肝腫大による腹部膨満などが見られます

2. 消化器型

  • 慢性的な下痢、嘔吐、体重減少、食欲不振、腸の肥厚やしこりを触知できることもあります

3. 縦隔型

  • 胸腔内リンパ節や胸腺の腫大・呼吸困難、頻呼吸・咳・胸水貯留によるチアノーゼ・運動不耐性が見られます

4. 皮膚型

  • 皮膚のしこり、紅斑、潰瘍、多発性の発疹や痂皮・掻痒を伴うこともあります

5. 中枢神経型・その他(稀)

  • けいれん、麻痺など神経症状、腎・眼・心臓などに発生すると臓器特異的症状を示します

  • 節外型リンパ腫では、眼球、中枢神経系、骨、膀胱、心臓、鼻腔などリンパ系組織以外のあらゆる部位にもできます

診断法

1. 身体検査

  • 全身のリンパ節の触診により大きさ・硬さ・対称性を評価します。

2. 細胞診(FNA:針吸引細胞診)

  • 最も一般的で侵襲の少ない検査です

  • リンパ節や臓器から細胞を採取することもあります

3. 組織生検(Biopsy)

  • 手術により切除した組織の確定診断や腫瘍のタイプ分類(免疫組織化学染色によるB細胞型/T細胞型判定)に有用です

4. 画像診断

  • X線・超音波検査:胸腔・腹腔内のリンパ節腫大や臓器浸潤を評価します

  • CT/MRI:縦隔や中枢神経型の詳細評価に用いることが多いです

5. 血液検査・生化学検査

  • 貧血、白血球異常、高カルシウム血症(特にT細胞型で多い)などを確認します

  • 全身状態の把握にも必須です

6. 骨髄検査

  • 白血病様リンパ腫や骨髄浸潤が疑われる場合に実施します

7. 免疫表現型判定(Flow cytometry、PCR for Antigen Receptor Rearrangement: PARR)

  • B細胞型かT細胞型かを判定し、治療反応や予後の予測に行います

3. 乳腺腫瘍

犬さんの乳腺腫瘍(Mammary tumor)は、雌犬に多く発生する腫瘍で、避妊手術の有無と発症リスクが強く関係しています。良性・悪性いずれも見られますが、約半数は悪性腫瘍です。

症状

乳腺部のしこり

  • 最も典型的な症状です

  • 大きさは米粒大から拳大まで様々あります

  • 単発または多発(約50%は複数)に起こります

硬さや可動性の違い

  • 良性:比較的柔らかく、皮膚や周囲組織との癒着が少ないと言われています

  • 悪性:硬く、不整形で周囲組織と癒着しやすいと言われています

皮膚の変化

  • 腫瘍部位が赤く腫れることがあります

  • 潰瘍化・びらん・出血・膿の排出が見られることがあります

乳頭からの分泌物

  • 血様分泌液や膿汁が出ることがあります

リンパ節腫脹

  • 腋窩や鼠径リンパ節に転移 → 腫大や硬結することがあります

進行例の全身症状

  • 咳、呼吸困難(肺転移)、食欲不振、体重減少、元気消失が見られます

診断法

1. 身体検査・触診

  • 全乳腺(左右5対・計10個)を丁寧に触診し、腫瘍の大きさ、数、左右対称性、癒着の有無を評価します

2. 画像診断

  • 胸部X線:肺転移の有無を確認します

  • 腹部超音波検査:肝臓・脾臓・腹部リンパ節への転移の有無を確認します

  • CT検査:詳細な転移や外科切除範囲の計画に有用です

3. 細胞診(FNA:針吸引細胞診)

  • 腫瘍やリンパ節から細胞を採取します

  • 腫瘍性か炎症性かの判断に役立つが、良悪性の確定は難しい場合が多いです

4. 組織学的検査(Biopsy/外科切除後病理検査)

  • 乳腺を切除後に確定診断するためには必須です

  • 腺腫か腺癌かの区別、悪性度、浸潤度を評価します

5. リンパ節評価

  • 腋窩・鼠径リンパ節を触診し、FNAや病理検査で転移確認を行います

6. 血液検査

  • 全身状態や麻酔リスクの評価を行います

CT検査が腫瘍診療で重要な理由

腫瘍が見つかったとき、治療方針を決めるうえで「どこまで広がっているのか」「転移があるのか」を正しく知ることがとても大切です。ここで役立つのが CT検査 です。

CTは体を断面で詳しく写し出せるため、腫瘍の大きさや位置、周囲の臓器や血管との関係まで三次元的に確認することができます。これにより手術の切除範囲を正確に決めることができ、取り残しのリスクを減らせます。

また、レントゲンでは見えにくい小さな肺転移や、肝臓・脾臓・リンパ節などへの転移も発見しやすいのが特徴です。その結果、「手術が適しているか」「化学療法や放射線治療を組み合わせるべきか」といった治療の方向性を明確にすることができます。

さらに、治療後の再発や転移を早期に見つけるための経過観察にも活用でき、予後を考えるうえでも大きな助けとなります。

ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制

セカンドオピニオン設置

ハグウェル動物総合病院では、腫瘍疾患に直面した飼い主様と動物さんに、より良い選択をしていただけるよう セカンドオピニオン外来 (専門診療の腫瘍科、中津 央貴獣医師)を設けています。

腫瘍は種類や進行度によって治療方法が大きく異なり、外科手術・化学療法・放射線治療・緩和ケアなど多様な選択肢があります。そのため、診断や治療方針について複数の視点から検討することが大切です。

当院ではCTなどの高度画像診断を用い、腫瘍の性質や広がり、転移の有無を的確に把握したうえで、専門的な知見をもとに治療方針をご提案いたします。セカンドオピニオンを通じて、飼い主様が納得し、安心して治療に臨んでいただけることを第一に考えています。

横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。

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当院では、予防や一般診療をはじめとして、その他の高度医療や専門診療にも総合的に対応しております。地域の全ての動物さんとご家族の皆様の幸せな生活を守り続けるために、常に先進の医療技術と、ホスピタリティを持ってスタッフ一同励んでまいります。
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