こんにちは。
ハグウェル動物総合病院で、日々たくさんの猫さんたちを診察している獣医師です。
今回は、『猫さんが下痢をした時の原因と対策』として、わかりやすくお話ししたいと思います。
目次
下痢を起こす主な原因とは
食事関連
- 急なフード変更
→腸内細菌バランスが乱れ、一過性の下痢を起こします。 - 不適切な食事・誤食
→ 人間の食べ物(脂肪分が多いもの、乳製品など)やゴミの誤食による消化不良が起こります。 - 食物アレルギーや食物不耐症
→ 特定のタンパク質や添加物に過剰反応し、急性もしくは慢性的な下痢を起こします。
感染症関連
- ウイルス感染
→ 猫汎白血球減少症ウイルス(猫パルボウイルス)、猫コロナウイルス(FCoV)などが、主な原因です。 - 細菌感染
→ サルモネラ菌、カンピロバクター菌、クロストリジウム菌などによる細菌性腸炎。 - 寄生虫感染
→ 回虫、鉤虫、コクシジウム、ジアルジアなどによる寄生虫性下痢もあります。
ストレス関連(猫さんは多い)
- 環境の変化
→ 引っ越し、家具の移動、新しい動物さんや赤ちゃんなどによりいつもの環境とは変わったことで体調の変化があらわれます。 - 精神的ストレス
→ 飼い主の留守番時間が長くなる、来客が多いなども影響すると言われております。
消化器疾患
- 慢性腸症
→ 食事、アレルギー、炎症、免疫異常による慢性的な腸の炎症によるもの。 - 腫瘍(リンパ腫など)
→ 消化管にできる悪性腫瘍による下痢があります。 - 腸の構造的異常
→腸重積(腸が腸の中に入り込む)、腸閉塞などですが、下痢も多少起こりますが、嘔吐が多いです。
全身性疾患
- 甲状腺機能亢進症
→ 代謝異常により下痢や軟便がみられる。 - 慢性腎臓病
→ 毒素の蓄積により腸の機能が低下します。 - 肝疾患、膵炎
→ 消化液の異常により消化不良を起こします。
薬剤・サプリメント関連
- 抗生剤の使用
→ 腸内の善玉菌にも作用してしまい、下痢を引き起こすことがあります。 - 一部サプリメントや新しい薬
→ 消化器への副作用として下痢を生じる場合があります。
その他
- 年齢・体質による消化機能の低下
→ シニア猫さんでは腸の吸収機能が落ち、下痢しやすくなります。 - 水分の摂りすぎ
→ ウェットフード中心や突然大量の水を飲む場合に、一時的に軟便になることもあります。
ご家庭でできる初期対応
愛猫の様子をしっかり観察し、状態把握を行う
- 元気・食欲があるかを見てください
- 嘔吐や発熱、血便など他に症状がないか見てください
- 水を飲んでいるか、しっかり観察してください
- ストレスになることがあれば、早めに取り除いてあげてください
少量頻回にし消化に良い食事で、胃腸を休める
- いつものドライフードをふやかす
- 缶詰などウェットフードに切り替える
- 胃腸の負担が少ない食事(療法食)に切り替える
水分補給を忘れずに
- こまめに新鮮な水を与える
- 猫さん用の電解質飲料も有効的です
早めの受診が必要なケースは
- 血便・黒いタール状便が出る
- 嘔吐や発熱を伴う
- ぐったりして元気がない
- 下痢が1日以上続く・繰り返す
- 食欲がない
このような下痢以外の症状が出る場合には、迷わず動物病院を受診しましょう
当院でのサポート体制
当院では、下痢の症状に対して迅速に対応し、必要な検査(便検査・血液検査・レントゲン・超音波・消化管造影検査・内視鏡検査など)を実施して、原因を特定し適切な治療を行います。
特に「急な下痢」「血便」「異物誤食が疑われる」などのケースでは、早期の処置が非常に重要です。
また、専門診療の消化器科(獣医師:室卓志)を設けているため、セカンドオピニオンや長期の下痢、さらには繰り返す消化器症状(嘔吐や下痢)など、治りが悪い症状の受け入れを行っております。
予約をお取りになられる際は、お電話(045-442-4370)かこちら(LINE予約)からお願いします。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
最後に:愛猫の健康は、日々の気づきから
猫さんの体は言葉で不調を伝えることができません。
「ちょっと様子がおかしいな」と感じたその直感が、愛猫の命を守る第一歩になることもあります。
ハグウェル動物総合病院では、地域の飼い主様と大切なご家族である猫さんの健やかな毎日をサポートするため、丁寧な診療とわかりやすい説明を心がけています。