
「水をよく飲むようになった」「おしっこの量が増えた」「食べているのに痩せてきた」
それ、実は糖尿病かもしれません。
糖尿病は、犬さんでも猫さんでもみられる病気ですが、症状の出方や治療の経過には少し違いがあります。
早めに気づいて適切な治療を始めることで、体調を安定させ、生活の質を保てる可能性があります。
今回は、犬猫さんの糖尿病について、どのような病気なのか、どんな症状がみられるのか、どのように検査や治療を進めるのかをわかりやすく解説します。
目次
糖尿病とは
糖尿病とは、血液中の糖をうまく利用できなくなり、血糖値が高い状態が続く病気です。
通常、血糖値を調整するためには膵臓から分泌されるインスリンが重要な役割を果たします。しかし、このインスリンが十分に出なくなったり、体がうまく反応できなくなったりすると、高血糖が続くようになります。
高血糖が続くと、血液中の糖が腎臓で再吸収されなくなり、尿に糖が出るようになります。これは糖尿病の名前の由来ですね。
尿中に糖が出ることで尿量が増え、さらに失われた水分を補うために水をたくさん飲むようになります。これが、糖尿病でよくみられる多飲多尿です。
糖尿病は、放置すると体重減少や脱水が進み、さらに重症化すると糖尿病性ケトアシドーシスのような危険な状態につながることもあります。
そのため、早めの発見と治療がとても大切です。
どんな症状が出るの?
糖尿病でよくみられる症状には、次のようなものがあります。
- 水をよく飲む
- おしっこの量が増える
- 食欲が増える
- 食べているのに痩せる
- 元気がない
- 毛づやが悪くなる
- ぐったりする
- 嘔吐がみられることがある
特に、多飲多尿と体重減少の組み合わせは、飼い主さまが最初に気づきやすい変化のひとつです。
「食欲はあるのに痩せてきた」という訴えは、糖尿病でよくみられます。
また、猫さんでは後ろ足に力が入りにくくなり、踵をつけるように歩くことがあります。
これは糖尿病によって神経が障害されるために起こる症状です。糖尿病が進行したサインのひとつとして知られています。
犬さんと猫さんの違い
糖尿病は犬さんでも猫さんでもみられますが、少し特徴が異なります。
犬さんの糖尿病
犬さんでは、糖尿病と診断された時点でインスリン治療が必要になることが多いです。
また、未避妊の女の子では黄体ホルモンの影響が血糖コントロールに関わることがあり、避妊手術が重要になることもあります。
進行すると白内障がみられることがあり、視力低下がきっかけで見つかることもあります。
猫さんの糖尿病
猫さんの糖尿病は、肥満や膵炎と関係していることが多く、人の2型糖尿病に近い側面があります。
そのため、基本的にはインスリン治療を行いますが、インスリン治療が不要な状態(いわゆる寛解)に入ることもあります。
一方で、猫さんでは病院で緊張して血糖値が一時的に高くなることがあるため、診断時には慎重な評価が必要です。
動物病院でどんな検査をするの?
問診や身体検査に加えて、以下のような検査を行います。
血液検査
血糖値を確認し、空腹時でも高血糖が持続しているかをみます。
あわせて、肝臓や腎臓の数値、電解質の異常、炎症の有無なども確認します。
特に猫さんでは、病院での緊張によって一時的に血糖値が高くなることがあります。
そのため、必要に応じて、過去1〜2週間の血糖値を反映するフルクトサミンや糖化アルブミンを検査します。
尿検査
糖尿病では、血糖値が高くなることで尿糖がみられます。
そのため、血液検査とあわせて尿検査を行い、尿糖や尿比重、感染徴候の有無などを確認します。
その他の検査
症例によっては、超音波検査や感染症の評価、併発疾患の確認を行うことがあります。
糖尿病では、ほかの病気が血糖コントロールに影響していることもあるため、全身の状態を確認することが大切です。
治療はどうするの?
糖尿病の治療は、高血糖を安定させ、症状を改善し、合併症を防ぐことが目的となります。
インスリン治療
犬さんでも猫さんでも、糖尿病治療の基本はインスリンです。
インスリンを決められた量、決められた時間に注射しながら、血糖値を安定させていきます。
飼い主さまの中には「自宅で注射なんてできるだろうか」と不安に感じる方も多いですが、実際には練習を重ねて慣れていく方がほとんどです。
大切なのは、無理なく継続できる方法を一緒に見つけていくことです。
また、近年では猫さんでは経口の治療薬も流通するようになり、糖尿病治療の新しい選択肢として注目されています。
食餌管理
糖尿病では、食事内容もとても重要です。
犬さんと猫さんでは適した食事の考え方が少し異なることがありますが、基本的には急な食事変更を避け、治療方針に合わせて安定した食事管理を行うことが大切です。
体重管理
特に猫さんでは、肥満がインスリン抵抗性に関わることがあります。
そのため、適正体重に近づけることが血糖コントロールの助けになる場合があります。
継続管理
糖尿病は、治療を始めた後も、こまめな調整が必要な病気です。
飲水量、尿量、食欲、体重、元気の変化をみながら、必要に応じて血糖値や尿検査の結果を参考に治療内容を見直していきます。
ご自宅で気をつけること
糖尿病の動物さんをご家庭でみるときは、次のような点に注目してください。
- 水を飲む量
- 尿量の変化
- 食欲の変化
- インスリンの時間をできるだけ一定にする
- 食事の内容や量を大きく変えすぎない
- 低血糖の症状を知っておく
特に注意したいのは低血糖です。
インスリンが効きすぎると、ふらつき、ぐったりする、震える、けいれんなどがみられることがあります。いつもと違う様子があれば、早めに動物病院へ相談することが大切です。
また、自己判断でインスリン量を増減しないことも重要です。
「今日はよく食べたから多めに」「あまり食べなかったからやめておこう」といった対応は、かえって危険になることがあります。
こんな時は早めの受診を
糖尿病が疑われるとき、または治療中に次のような変化があるときは、早めの受診をおすすめします。
- 水を飲む量が急に増えた
- おしっこの量が明らかに増えた
- 食欲はあるのに痩せてきた
- 元気がない
- 嘔吐している
- ぐったりしている
- 後ろ足が弱そう
- 食べないのにインスリンが必要か迷う
- 低血糖が疑われる症状がある(ふらつき、震え、けいれんなど)
特に、ぐったりしている、吐いている、食べられない、呼吸がおかしいといった場合は、重症化している可能性もあるため注意が必要です。
まとめ
犬猫さんの糖尿病は、血糖値をうまく調整できなくなることで起こる病気です。
代表的な症状は、多飲多尿、多食、体重減少で、犬さんでも猫さんでもみられます。
診断には血液検査や尿検査が必要で、治療の基本はインスリンと食事管理です。
猫さんでは寛解に入ることもありますが、いずれの場合も継続的な管理が大切になります。
「最近、水をよく飲むようになった」
「食べているのに痩せてきた」
「おしっこが増えた気がする」
そのような変化があるときは、早めにご相談ください。糖尿病は、早く見つけて治療を始めることがとても大切です。
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