「お腹にしこりがあるけど大丈夫…?」
乳腺腫瘍は中高齢の女の子の犬さん猫さんで見られる腫瘍のひとつです。前回、子宮蓄膿症についてお話ししましたが、避妊手術を早期に行わないと乳腺腫瘍が見られるケースもあります。早期発見・早期治療を行うことが重要な病気なため、今回は乳腺腫瘍について解説します。
乳腺腫瘍とは?
乳腺腫瘍とは、乳腺組織に発生する腫瘍です。
犬さん猫さんの乳腺は左右に5対あるのが一般的ですが、乳腺腫瘍はどの部位にも発生する可能性があります。
乳腺腫瘍には、良性と悪性がありますが、犬さんと猫さんでは悪性の割合が異なります。
・犬さん:良性と悪性が半数ずつ
・猫さん:悪性の割合がおよそ9割
猫さんは小さいしこりであっても悪性の可能性があるため注意が必要です。
どんな症状が見られる?
初期には痛みや体調の変化はほとんどなく、飼い主様が抱っこしたり、お腹をなでたりする時に気づくことが多いです。
以下のような症状が見られることがあります。
・お腹や胸の乳腺部分にしこりがある
・しこりが大きくなってきた
・皮膚が赤くなる(広範囲に赤くなる場合は要注意)
・出血や潰瘍ができる
・しこりが複数に見られる
進行すると肺や骨に転移し、呼吸状態の悪化が見られることもあります。
原因とリスク
乳腺腫瘍の発生には女性ホルモンが関係していると考えられています。
そのため、1歳までに避妊手術を行なった犬さん猫さんでは、乳腺腫瘍の発生リスクが大きく低下することが知られています。
特に次のような動物さんは注意が必要です。
・中高齢の未避妊の犬猫さん
・避妊手術を行なった時期が遅かった犬猫さん
・過去に乳腺疾患の既往歴がある場合
診断方法と治療
乳腺腫瘍が疑われる場合、身体検査にてしこりの大きさや位置、いくつあるのか、周囲の組織との癒着などを確認します。しこりに対して細い針を刺して細胞診検査を行い、顕微鏡で観察します。乳腺腫瘍が疑わしい場合は手術を検討します。手術をする際には術前検査として、血液検査・レントゲン検査や超音波検査にて肺やリンパ節への転移がないかを確認します。転移が見られない場合には手術にて摘出しますが、しこりの大きさや位置、数などにより摘出の方法が異なります。手術方法として
①腫瘍のみ取り除く
②一部の乳腺ごと摘出
③片側もしくは両側の乳腺を全摘出
などを獣医師の判断により選択します。摘出した腫瘍を病理組織検査にて調べることで、良性か悪性、悪性度の評価などを行います。
まとめ
乳腺腫瘍は犬さんや猫さんで比較的よくみられる腫瘍ですが、小さいうちに発見・治療できるほど予後の改善が期待できます。
ご家庭ではスキンシップの際に、胸からお腹にかけて触ってみる。しこりがないかチェックする。左右差がないか観察するなどを日々の習慣にしてみてください。
特に猫さんでは悪性の割合が高いため、「小さなしこりだから様子を見よう」と判断せず、ご相談ください。
少しでも気になるしこりを見つけた場合は、お早めに当院へご来院ください。

