

【皮膚科専門診療】星野 友哉 獣医師
【担当科目】皮膚科
愛犬や愛猫のお腹や足先が、ある日突然真っ赤になっていたり、痛がって舐め続けていたりすることはありませんか? もしかするとそれは、「刺激性接触皮膚炎」かもしれません。
今回は、お家の中やお散歩コースなど、身近なところに原因が潜んでいるこの皮膚炎について、詳しく解説していきます。
疫学(どのくらい発生するの?)
犬さんや猫さんは全身を被毛で覆われているため、人間と比べると直接皮膚に刺激物が触れる機会は少なく、発生頻度としては比較的まれな疾患です。
しかし、被毛の薄い部位(お腹、内股、脇の下など)や、直接地面に触れる部位(肉球、足先、顎など)には発生しやすくなります。 また、猫さんの場合は被毛に付着した物質をグルーミングで舐めとってしまうため、皮膚炎だけでなく、口腔内の炎症や消化器症状(嘔吐など)として現れることも少なくありません。
原因
アレルギー反応(免疫の過剰反応)とは異なり、物質が持つ直接的な毒性や刺激によって皮膚の細胞がダメージを受けることで発症します。原因となる物質は多岐にわたります。
- 家庭内の化学物質: 強い洗剤、漂白剤、床用ワックス、カーペットの洗浄剤
- 外用薬・ケア用品: 消毒薬、不適切なシャンプー(原液での使用など)、ノミ・マダニ駆除薬(稀に反応することがあります)
- 屋外の化学物質: 除草剤、殺虫剤、融雪剤、肥料、コンクリート(セメント)
- 植物の樹液: 特定の有毒植物や、かぶれやすい植物
症状
原因物質に触れてから、数時間から数日以内に症状が現れます。接触した部位に局所的に症状が出るのが特徴です。
- 皮膚の赤み(紅斑)や腫れ
- ブツブツ(丘疹)や水ぶくれ(水疱)
- 激しい痒み、または痛み(気にして過剰に舐めたり噛んだりします)
- 重症の場合は、皮膚のただれ(潰瘍)や壊死に至ることもあります。
診断
刺激性接触皮膚炎の診断は、「何に触れたか」という病歴の聴取が最も重要になります。「最近、お庭に除草剤を撒きませんでしたか?」「新しい洗剤で床を拭きませんでしたか?」といったお話から原因を推測します。
その上で、以下のような検査を行い、他の皮膚疾患(細菌感染、カビの感染、アトピー性皮膚炎、寄生虫など)ではないことを確認(除外)していきます。
- 皮膚細胞診: 皮膚の表面の細胞や細菌、マラセチアなどを顕微鏡で調べます。
- 皮膚掻爬(そうは)検査: ダニなどの寄生虫がいないか調べます。
治療
治療の基本は、「原因物質を速やかに取り除き、皮膚の炎症を抑えること」です。
- 洗浄: 原因物質がまだ皮膚や被毛に残っている可能性がある場合、低刺激のシャンプーや水で優しく、かつしっかりと洗い流します。
- 抗炎症治療: 炎症や痒みを抑えるため、ステロイドの塗り薬や飲み薬を使用します。
- 二次感染の治療: 患部を舐め壊して細菌感染を起こしている場合は、抗生物質を投与します。
- 保護: エリザベスカラーや洋服、靴下などを使用し、患部を舐めたり物理的な刺激を与えたりしないように保護します。痛みが強い場合は、鎮痛剤を使用することもあります。
予後
原因物質を特定し、完全に遠ざけることができれば、予後は非常に良好です。適切な治療を行えば、通常は1〜3週間程度で回復します。ただし、重度の潰瘍や壊死を起こしてしまった場合は、傷痕が残ったり、治療に時間がかかったりすることがあります。
予防
最大の予防は、「危険なものに触れさせない環境づくり」です。
- 安全な保管: 家庭用の洗剤や化学物質は、ペットが絶対に開けられない扉の中や手の届かない場所に保管しましょう。
- 使用時の注意: 強い洗剤で床掃除をした後は、しっかりと水拭きをして乾くまでペットをその部屋に入れないようにしましょう。
- お散歩中の観察: 除草剤が撒かれていそうな草むらや、工事現場の近くは歩かせないように注意しましょう。万が一、変な液体を踏んでしまったら、すぐに洗い流してください。
愛犬・愛猫の皮膚を守れるのは、飼い主様のちょっとした気遣いです。「おかしいな」と思ったら、自己判断でお薬を塗ったりせず、なるべく早く動物病院にご相談くださいね。
ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制
【皮膚科 セカンドオピニオン外来のご案内】
2026年5月1日より、30分枠でのご予約になりますが、診察時間を拡大いたします。
- 曜日:毎週 月曜日・木曜日
- 診療時間:10:00〜13:00、15:00〜18:00
ハグウェル動物総合病院では、皮膚疾患にお悩みの動物さんとご家族のために、皮膚科専門診療(担当:星野友哉獣医師)によるセカンドオピニオン外来を設けています。
皮膚疾患は「かゆみ」「脱毛」「赤み」など一見似た症状でも、その原因や進行度によって治療法が大きく異なります。アレルギー、感染症、ホルモン疾患、腫瘍など、複数の要因が関与するケースも少なくありません。
そのため当院では、問診・皮膚検査・細胞診・血液検査を活用し、病態を多角的に評価します。そのうえで、専門的な知見に基づき、現在の治療の見直しや新たな選択肢をご提案いたします。
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