
昨今、医療の進歩やフードの質の向上によって動物さんたちも長生きしてくれる時代になりました。大切な家族と長く一緒に過ごせることはとても嬉しいことですよね。しかしその一方で“老い”による変化に向き合う機会も増えています。
“年だから仕方ない”と見過ごされがちな症状の中に、もしかしたら認知症のサインがあるかもしれません。
今回はそんな犬さんの認知症についてご紹介します。
認知症とは
認知症は正式には認知機能不全症候群と呼ばれ、老化に関連して認知機能が徐々に低下し、その結果いくつかの特徴的な行動障害が見られる病気の総称です。
犬さんでは、9歳を超えたあたりから症状が現れ始め、年齢が増すにつれて罹患率は増加していきます。
日本国内では日本犬の発生が群を抜いて多く、認知症の犬さんの83%が日本犬だったという報告もあります。
症状
認知症の犬さんでよく見られる5つの特徴的な症状を、頭文字をとって“DISHA(ディーシャ)”と呼びます。
Disorientation(見当識障害):おうちの中で迷ってしまう、隙間に入り込んで出られなくなる事がある
Interaction(社会的交流の変化):飼い主さんや同居の動物さんを認識できなくなる
Sleep wake cycle(睡眠サイクルの変化):昼夜逆転してしまう
House soiling(粗相):トイレの失敗が増える
Alteration in Activity(活動性の低下):目的なく歩き回る、ぼーっとしている時間が増える
こんな症状が見られたら認知症かもしれません。
原因
加齢による脳の神経細胞の減少や、特定のタンパク質(アミロイドなど)の沈着が起こることで細胞死が引き起こされ、認知症が発症すると考えられています。
治療
残念ながら、犬さんの認知症に対する決定的な治療法はいまだありません。
そのため、治療目標は“進行を可能な限り遅延させること”、“飼い主さんとその動物さんの生活の質を維持、向上させること”に向けられます。
治療法には主に薬物療法、行動療法、食餌療法があります。今回はご自宅でもできる行動療法と食餌療法に焦点を当ててご紹介します。
行動療法
行動療法では犬さんたちになるべくストレスを与えることなく身体面、精神面ともに活動的にさせることが目的となります。
例えば、トイレを失敗してしまっても叱責しない、おうちの中を歩きやすいように床を滑りにくい素材にする、刺激を与えるために日光浴をさせる、散歩に連れていく、新しい芸などを覚えさせる、などがあります。
食餌療法
食餌療法では抗酸化作用のあるビタミンE、ビタミンC、抗炎症作用のあるDHAやEPAといったω3脂肪酸などを含む食品を取り入れることが重要視されています。
最近ではサプリメントや療法食も開発されているため、こういったものを上手に活用すると良いでしょう。
まとめ
犬さんの認知症は飼い主さんにとってとても心配な変化の一つですが、それだけ長い時間を一緒に過ごしてきた証でもあります。
年齢を重ねたからこそ見られる変化に寄り添いながら、その子らしく穏やかに日々を過ごせるようサポートしていくことが大切です。
気になること、不安なことがあればお気軽にご相談ください。
ハグウェル動物総合病院 吉川美南院の体制
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