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【獣医師監修】犬さんの膝蓋骨脱臼の治療について

整形外科専門チーム

【専門診療】中津 院長

【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科・整形外科

 

 

 

― グレード別に考える手術適応と手術手技を獣医師が詳しく解説 ―

膝蓋骨脱臼(Patellar Luxation:パテラ)は、「手術をするべきかどうか」「いつ介入すべきか」で悩まれることの多い疾患です。
特に重要なのは、“グレード”と“症状・骨格変形の進行度”を分けて考えることです。

本記事では、膝蓋骨脱臼のグレード別の手術適応の考え方と実際に行われる手術手技について、獣医師の視点で詳細に解説します。

膝蓋骨脱臼の手術判断

まず大前提:必ずしも「グレード=重症」、ではない

膝蓋骨脱臼は一般にグレード1〜4に分類されますが、「グレードが低い=手術不要」とは限りません。

手術判断の軸は以下の3点です。

  1. 臨床症状(痛み・跛行・生活への影響)

  2. 骨の変形

  3. 年齢・犬種(大型/小型)・将来予測(体重、性格、生活環境など)

これを踏まえて、グレード別に見ていきます。

 

グレード1

▶ 手術適応:原則「なし」だが例外あり

状態

  • 通常は正常位置

  • 手で押すと脱臼するが、自然に戻る

  • 歩行異常や痛みはほぼ認めない

基本方針

  • 保存療法(経過観察)が原則

  • 定期的な触診・画像評価が重要

例外的に手術を検討するケース

  • 若齢犬ですでに骨の変形が確認されている

  • 将来的に高確率で悪化が予測される犬種・体型

  • 両側性で運動時の違和感が明確

この段階では「手術」よりも生活環境・体重管理・滑り防止が最重要です。

 

グレード2

▶ 手術適応:症状の有無で分かれる“境界ライン” “実は手術が多いグレード”

状態

  • 歩行中に頻繁に脱臼

  • 自力で戻るが、スキップ歩行あり

  • 徐々に骨変形が進行し始める

手術を勧めるケース

  • 跛行が日常的にみられる

  • 痛みや運動不耐性が出ている

  • 若齢で今後の進行が強く懸念される

保存療法を選択できるケース

  • 症状が軽微

  • 高齢で進行リスクが低い

  • 飼い主さんが十分な管理を行える場合

グレード2は「将来を見据えた判断」が最も重要です。

 

グレード3

▶ 手術適応:原則「あり」

状態

  • 常に脱臼している

  • 手で戻せるがすぐ外れる

  • 明らかな骨変形(大腿骨・脛骨)

  • 跛行・筋萎縮が進行

手術を行う理由

  • 放置すると変形性関節症・前十字靭帯断裂のリスクが高い

  • 自然改善は期待できない

グレード3は「症状改善」だけでなく「進行予防」が目的です。

 

グレード4 

▶ 手術適応:原則「あり」だが難易度は最も高い

状態

  • 常に脱臼し、手でも戻らない

  • 著しい骨変形

  • 重度の歩行障害

手術の目的

  • 「完全な正常化」ではなく:痛みの軽減・歩行機能の改善

手術手技

膝蓋骨内方脱臼には手術の方法がいくつかあり以下の内容を症状に応じて組み合わせて行います。

  1. 滑車溝形成術(Trochlear Recession)

    • 膝のお皿がはまる大腿骨の溝(滑車溝)を深くする
    • 最も基本かつ重要な手技

  2. 内側/外側支帯解放術(Release)

    • 膝蓋骨を引っ張っている組織を緩める

  3. 関節包縫縮術(Imbrication)

    • 膝のお皿を取り囲む関節包を締めて安定性を高める

  4. 脛骨粗面転移術 (TTT)

    • 膝蓋骨を引く力の方向そのものを矯正
    • 脛骨の一部を切り、正しい位置に移動・固定

  5. 大腿骨・脛骨の骨切り矯正

    • 骨を切って曲がった骨を元の角度に矯正

若齢での早期介入が、結果を大きく左右します。

 

手術適応を判断する際の重要ポイント

獣医師が総合的に判断する要素は以下です。

  • グレード

  • 症状の頻度・強さ

  • 年齢(若齢ほど早期介入の意義が大きい)

  • 犬種・体型

  • 両側性かどうか

  • 飼い主さんの管理環境

「今の状態」だけでなく「5年後・10年後」を見据えることが大切です。

まとめ

  • グレード1:原則保存、慎重な経過観察

  • グレード2:症状次第で手術検討

  • グレード3・4:原則手術適応

  • 手術は骨+軟部組織の総合的矯正

  • 早期介入ほど、予後は良好

膝蓋骨脱臼は「様子見」が長引くほど、取り戻せない変形が進行します。
少しでも気になる歩き方があれば、ぜひ早めにご相談ください。

その子が一生、自分の足で快適に歩ける未来のために。

ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制

セカンドオピニオン設置

関節の痛みなどの整形外科疾患の症状に対して迅速な対応を行います。

必要な検査として身体検査による触診、レントゲン検査、血液検査、CT検査等を実施して、原因を特定し適切な治療を行います。

特に「跛行」「歩様状態の異常」「外傷による骨折」などのケースでは、的確な診断と治療が非常に重要です。

また、専門診療の整形外科(岩田 宗俊 獣医師)を設けているため、セカンドオピニオン、さらには繰り返す跛行など、治りが悪い症状の受け入れを行っております。

横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。

 

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