【腎泌尿器科診療】室 卓志 獣医師
【担当科目】総合診療科・腎泌尿器科・消化器科
腎臓がんとは?
腎臓がんは、腎臓にできる悪性腫瘍の総称です。犬では比較的まれな病気ですが、腎細胞がん(renal cell carcinoma)が最も多く報告されています。
腎臓は左右にひとつずつあり、がんは片側に発生することが多いですが、転移によって他の臓器に広がる可能性があります。
主な症状
初期は症状がほとんどなく、気づいたときには進行しているケースが少なくありません。進行すると次のような症状が見られます。
- 元気・食欲の低下
- 体重減少、筋肉のやせ
- 多飲多尿(お水をたくさん飲む・おしっこが増える)
- 血尿(赤い・茶色い尿が出る)
- お腹にしこりを感じることも
- 進行例では呼吸が苦しそう、咳(転移による)
これらの症状は他の腎疾患やホルモン病でも見られるため、画像検査や血液検査で原因を特定することが大切です。
診断の流れ
腎臓がんが疑われる場合は以下の検査を行います。
- 超音波検査(エコー):腎臓にしこりや形の変化がないかを確認
- CT検査:腫瘍の広がりや血管との位置関係を詳しく評価
- 血液・尿検査:腎機能や貧血の有無をチェック
- 胸部レントゲン/CT:肺への転移の有無を確認
特にCTは手術可能かどうかの判断に役立ちます。
治療法
最も有効とされるのは**外科手術による腎臓ごとの摘出(腎摘出術)**です。
- 片側の腎臓を取り除いても、もう片側が正常に働いていれば生活は可能です。
- 転移がない、または限定的な場合には手術が第一選択です。
手術が難しい場合や転移がある場合には、
- 抗がん剤
- 分子標的薬(犬では適応が限定的)
- 疼痛緩和・対症療法
などを組み合わせて、QOL(生活の質)を保つ治療を行います。
予後(よご)と経過
腎臓がんは早期に見つかれば手術後も比較的長く生活できるケースがありますが、転移がある場合は予後が厳しいことも多い病気です。
定期健診や超音波検査での早期発見が何より重要です。
飼い主さんへのアドバイス
- 年1〜2回の**健康診断(血液+超音波)**をおすすめします。
- シニア期(7歳以上)は特に腎臓や腹部臓器の腫瘍リスクが上がるため注意が必要です。
- 血尿や体重減少が見られたら早めに病院へご相談ください。
まとめ
犬の腎臓がんは初期症状が目立たないため、定期健診による早期発見が鍵です。治療の選択肢や予後は診断時期によって大きく変わります。
ハグウェル動物総合病院では、腫瘍科・画像診断科と連携し、外科・内科・緩和ケアまで一貫した治療体制を整えています。気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。
セカンドオピニオン設置
下部尿路疾患の症状に対して迅速に対応し、必要な検査(血液検査・尿検査・レントゲン・超音波・CT検査など)を実施して、原因を特定し適切な治療を行います。
特に「頻尿」「血尿」「尿が出ない尿閉」などのケースでは、早期の処置が非常に重要です。
また、専門診療の腎泌尿器科(室 卓志獣医師)を設けているため、セカンドオピニオン、さらには重症化した下部尿路疾患や慢性腎臓病など、長期的なケアが必要なケースの受け入れを行っております。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
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