【腎泌尿器科診療】室 卓志 獣医師
【担当科目】総合診療科・腎泌尿器科・消化器科
今回は「犬さんの膀胱腫瘍」について、飼い主さんにぜひ知っておいていただきたい情報をわかりやすくご紹介します。特に中高齢の犬さんを飼っている方には要チェックの内容です。
目次
膀胱腫瘍とは?
膀胱腫瘍は、膀胱内にできる腫瘍(できもの)で、多くの場合「移行上皮癌(TCC: transitional cell carcinoma)」という悪性腫瘍が見られます。
この腫瘍は膀胱の内側の粘膜から発生し、徐々に尿の通り道を塞いでしまったり、他の臓器へ転移する可能性もあるため注意が必要です。
好発犬種・年齢
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シェルティ、スコティッシュ・テリア、ビション・フリーゼ、ビーグルなどで発生率が高いとされています。
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中高齢(7歳以上)での発症が多いです。
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メス犬の方がややリスクが高い傾向があります。
こんな症状があれば要注意!
膀胱腫瘍の症状は、膀胱炎ととてもよく似ているため、見逃されがちです。
以下のような症状があれば、早めに動物病院を受診してください。
- 頻繁にトイレに行く(頻尿)
- 血尿が出る
- 排尿時に痛がる、時間がかかる
- 尿が出にくい・出ない
- 食欲不振、元気消失
特に「抗生剤で治らない膀胱炎」が続く場合は、膀胱腫瘍の可能性も考慮します。
診断はどうやるの?
腫瘍かどうかを判断するには、以下のような検査を組み合わせて行います。
- 超音波検査(エコー):膀胱内の腫瘍の有無や位置を確認します
- 尿細胞診:尿中の異常細胞を調べます
- CT検査・MRI検査:腫瘍の広がりや他臓器への転移確認をします
- 組織検査:確定診断のために取り除いた腫瘍組織を病理組織検査を行います
治療法は?
膀胱腫瘍の治療は、腫瘍の大きさ・位置・転移の有無によって異なります。
① 内科療法(抗がん剤や非ステロイド消炎薬)
進行を遅らせることが期待されます。
② 外科手術
腫瘍の部位によっては摘出が可能。ただし、膀胱三角部(尿管や尿道の接続部)にできた腫瘍は手術が難しいことがあります。
③ 緩和治療・QOL改善
尿道ステント設置などで排尿を助け、快適な生活を維持することを目的とする選択肢もあります。
早期発見・早期対応の大切さ
膀胱腫瘍は、早期に発見できれば治療の選択肢も広がり、愛犬の生活の質を大きく守ることができます。
そのためにも、以下を心がけましょう。
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定期的な健康診断(特にシニア犬)
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尿の色や排尿の様子の観察
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「おかしいな」と思ったらすぐ受診!
まとめ
膀胱腫瘍は決して珍しい病気ではありませんが、膀胱炎と見分けがつきにくいことから、見逃されがちです。
だからこそ、「いつもと違うおしっこ」には敏感になってほしいのです。
あなたの気づきが、ワンちゃんの命を救う第一歩になるかもしれません🐾
セカンドオピニオン設置
下部尿路疾患の症状に対して迅速に対応し、必要な検査(血液検査・尿検査・レントゲン・超音波・CT検査など)を実施して、原因を特定し適切な治療を行います。
特に「頻尿」「血尿」「尿が出ない尿閉」などのケースでは、早期の処置が非常に重要です。
また、専門診療の腎泌尿器科(室 卓志獣医師)を設けているため、セカンドオピニオン、さらには重症化した下部尿路疾患や慢性腎臓病など、長期的なケアが必要なケースの受け入れを行っております。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
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