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【獣医師監修】犬さんや猫さんのそのよだれ、口の中の腫瘍かも?

 

 

【専門診療】中津  院長

【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科

 

「最近よだれが増えたな…」「口臭が強くなった気がする…」――そんな変化を見過ごしていませんか?

犬さんや猫さんのよだれの原因は歯周病や口内炎のこともありますが、なかには口腔内腫瘍(しゅよう)が隠れている場合もあります。口腔内腫瘍は早期発見が難しく、進行すると治療が難しくなる病気です。

獣医師としてお伝えしたいのは、「よだれ」や「口臭」はただの老化ではなく、重大な病気のサインかもしれない
ということです。大切なご家族の健康を守るために、気になる症状があれば早めに動物病院でのチェックをおすすめします。

犬さん:口腔内メラノーマ(悪性黒色腫)

発生頻度

犬さんの口の中にできる腫瘍の中で最も多いのが「悪性黒色腫(メラノーマ)」です。中高齢の犬さんでよく見られ、特に口唇や歯ぐきに発生することが多いと報告されています。

症状

初期には「口臭が強い」「出血がある」「歯がぐらぐらする」といった変化で気づかれることが多いです。進行すると腫れやしこり、よだれ、食欲低下がみられ、顔の形が変わってしまうこともあります。

口腔にできた腫瘍

診断

確定診断には組織検査(麻酔が必要な生検)が必要です。また、悪性黒色腫は転移しやすいため、胸部レントゲンやCT検査で肺やリンパ節の転移チェックも重要です。

細胞診所見

 

治療

  • 外科手術腫瘍だけでなく、周辺の組織ごとしっかりと広い範囲を切除するのが第一選択です。腫瘍の大きさが2cm以下の小さい状況で手術できると、予後が改善される可能性が高くなります。

  • 放射線治療メラノーマは放射線感受性が高いため、切除が難しい場合や術後の再発予防、緩和治療など様々な状況で用います。

  • 免疫療法やワクチン近年は「Oncept®ワクチン」や、免疫チェックポイント阻害剤などの研究も進んできており、今後の更なる発展に期待しています。

予後

非常に進行が早い腫瘍で、未治療では2か月ほどで急速に悪化するとされています。手術や放射線を組み合わせることで半年〜1年ほどの延命が期待できますが、再発や転移のリスクは高いため、早期発見が鍵となります。


猫さん:口腔内扁平上皮癌

発生頻度

猫さんの口の中にできる腫瘍では、扁平上皮癌(SCC)が7〜8割を占めると言われるほど圧倒的に多い腫瘍です。特に高齢の猫さんに多くみられます。

症状

最初は「よだれ」「口臭」「食べにくそう」といった症状から始まり、進行すると口の中に硬いしこりや潰瘍ができ、出血・痛み・体重減少につながります。

診断

麻酔が必要な病理組織検査が必須です。また、扁平上皮癌は口の中で非常に広がりやすく、周辺の粘膜や粘膜下の骨への局所浸潤が強い腫瘍であるため、CT検査で腫瘍の広がりや骨の状態、リンパ節への転移の有無などを確認することが推奨されます。

治療

  • 外科手術:切除が第一選択ですが、口の奥や舌下にできた場合は完全切除が難しいことが多いです。

  • 放射線治療抗腫瘍効果や痛みなどの症状を和らげる効果ありますが、放射線治療単体での根治は難しいとされます。

  • 抗がん剤、薬物療法(消炎鎮痛剤など)抗がん剤や分子標的薬の使用が報告されていますが、残念ながら著効するものはなく、状態に応じ生活の質を保つための治療を行います。

予後

残念ながら、猫の扁平上皮癌は進行が早く治療も難しい腫瘍で、平均生存期間は1〜3か月程度と報告されています。治療の目的は延命だけでなく、痛みを和らげ、食べやすくするなど生活の質を維持することに重きが置かれます。

まとめ

犬さんと猫さんで代表的な口腔内腫瘍は異なりますが、いずれも進行が早く、発見が遅れると治療が難しくなる病気です。

「口臭が強い」「よだれが増えた」「口の中にしこりがある」――そんなサインに気づいたら、早めに動物病院での検査を受けることが大切です。

犬さんと猫さんの腫瘍におけるCT検査の有用性

なぜCTが必要なのか

犬さんや猫さんの腫瘍診断では、腫瘍の正確な位置・広がり・転移の有無を把握することが治療方針を決める上で重要です。従来のレントゲン検査だけでは、腫瘍の詳細な評価が難しいことが多いため、近年ではCT(コンピュータ断層撮影)の活用が進んでいます。

CTは体を輪切りにした画像を撮影し、それを3次元的に再構成することで、腫瘍を立体的に可視化できる検査です。

CT検査が有用なポイント

1. 腫瘍の正確な位置と広がりの把握

  • 鼻腔内腫瘍や脳腫瘍、胸腔内腫瘍など、骨や臓器が複雑に入り組んだ部位ではレントゲンでの評価が難しいことが多いです。

鼻腔内腫瘤

  • CTでは骨や軟部組織を詳細に描出でき、腫瘍がどこまで浸潤しているかを正確に判断できます。

2. 転移の有無の確認

  • 肺やリンパ節への転移は治療方針に大きな影響を与えます。

  • CTは数mm単位の小さな転移巣も検出でき、外科手術や放射線治療の適応を正しく判断するのに役立ちます。

3. 手術・放射線治療計画への応用

  • 腫瘍の切除範囲の決定放射線照射の精度向上にCT画像が欠かせません。

右眼瞼腫瘤

  • 腫瘍と周囲の重要な血管・神経の位置関係も把握でき、術後合併症のリスク軽減につながります。

4. 治療効果の評価

  • 手術後や化学療法・放射線治療後の再発や残存腫瘍の確認にもCTは有効です。

ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制

セカンドオピニオン設置

ハグウェル動物総合病院では、腫瘍疾患に直面した飼い主様と動物さんに、より良い選択をしていただけるよう セカンドオピニオン外来 (専門診療の腫瘍科、中津 央貴獣医師)を設けています。

腫瘍は種類や進行度によって治療方法が大きく異なり、外科手術・化学療法・放射線治療・緩和ケアなど多様な選択肢があります。そのため、診断や治療方針について複数の視点から検討することが大切です。

当院ではCTなどの高度画像診断を用い、腫瘍の性質や広がり、転移の有無を的確に把握したうえで、専門的な知見をもとに治療方針をご提案いたします。セカンドオピニオンを通じて、飼い主様が納得し、安心して治療に臨んでいただけることを第一に考えています。

横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。

📢ご予約・ご相談はお気軽に!

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