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【横浜市・川崎市・大和市近隣にお住まいの飼い主様へ】犬さんの結晶尿・尿石症・膀胱結石について

 

【腎泌尿器科診療】室 卓志 獣医師

【担当科目】総合診療科・腎泌尿器科・消化器科

 

犬さんの結晶尿・尿石症・膀胱結石になってるかも?

「なんだか最近、トイレの回数が増えたような気がする…」

こんなお悩み、飼い主さんからよくご相談を受けます。

実はその背景に、膀胱結石や尿石症、そして“結晶尿”と呼ばれる初期サインが潜んでいるかもしれません。

犬さんの泌尿器の病気の中でも、結晶尿から始まり、膀胱に結石ができるまでの一連の変化は決して珍しいものではありません。

小型犬やシニア期の子だけでなく、若い犬さんでも起こりうる疾患です。

特に気をつけたいのは、「明らかな症状が出る前に、すでに結晶や石ができ始めているケース」があるということ。

早期に気づいてあげることで、つらい症状や手術のリスクを未然に防ぐことができます。

犬の結晶尿・尿石症・膀胱結石の違いと概要

結晶尿(けっしょうにょう)とは?

尿の中にまだ石になる前の小さな結晶(ミネラルのかけら)が見つかる状態です。

症状がないことも多いですが、放置すると結石に進行する可能性があります。

尿石症(にょうせきしょう)とは?

尿石症は、尿路(腎臓〜尿道)に石ができる病気の総称です。

つまり膀胱結石も尿石症の一種です。石の位置によって「腎結石」「尿管結石」「膀胱結石」「尿道結石」などと呼び分けます。

膀胱結石(ぼうこうけっせき)とは?

膀胱の中に固い石(結石)ができる病気です。

尿の中のミネラルが固まって石になり、排尿時の痛みや血尿、頻尿などを引き起こします。石が大きくなると、尿道をふさいで命に関わることもあります。

主な原因

  1. 尿のpH変化と濃縮尿

     脱水や慢性的な水分摂取不足により尿が濃くなり、結晶が析出しやすくなります。

  2. 細菌性膀胱炎(特にストルバイト)

     感染により尿がアルカリ化し、ストルバイト結晶が形成されやすくなります。

  3. 遺伝的要因

     ダルメシアン(尿酸塩)、ダックスフント(シスチン)など、代謝異常や尿のミネラル排出に関与する体質があります。

  4. 食事の内容

     高タンパク質食、ミネラルバランスの悪い食餌、尿pHに影響する原材料(例:動物性タンパク過剰、過剰なカルシウムやリンなど)が関与。

  5. 活動性の低下・肥満

     排尿頻度が減少すると、尿路停滞によって結晶が析出しやすくなります。

原因は1つの場合や、組み合わさる場合もあるため、原因特定を行うことが難しい場合もあります。

主な症状(早期発見のポイント)

症状 備考
頻尿・排尿時のいきみ
 何度もトイレに行くが少量ずつしか出ず
血尿
 特に終末尿(排尿の終わり)で赤い尿が見られることが多い
尿失禁
 我慢できずに漏らしてしまう
排尿困難・疼痛
 鳴き声、そわそわする、排尿ポーズをとるが出ないなど
尿閉
 何度もトイレに行くが、尿が完全に出ない。緊急処置が必要である

結石の種類 特徴 好発犬種・年齢 尿pH傾向

ストルバイト

(リン酸アンモニウムマグネシウム)

感染に関連することが多い。比較的溶解可能。 小型犬全般、特に♀犬、若~中齢
アルカリ性尿で形成しやすい
シュウ酸カルシウム 溶解不可。外科摘出が必要になることも。 ヨークシャー、シーズー、ミニチュア・シュナウザーなど中高齢
酸性尿で形成しやすい

尿酸塩

(主に尿酸アンモニウム)

遺伝性疾患に関連(特に肝門脈シャント)。 ダルメシアン、イングリッシュブルドッグ、肝疾患持ち犬
酸性尿で形成しやすい
シスチン まれ。遺伝的なアミノ酸代謝異常が関与。 ダックス、ニューファンドランドなど
酸性尿で形成しやすい
シリカ 非常にまれ。特定地域の水・土壌が関与する可能性あり。 ラブラドールなど大型犬
中性~アルカリ性
 

膀胱結石・尿石症・結晶尿の予防まとめ

1. 水分摂取をしっかりと

  • 常に新鮮な水を用意し、飲水量を確保(目安:50mL/kg/日以上

  • ドライフードのみの犬さんにはウェットフードやスープを活用して水分量を増やす

2. 尿検査で早期発見

  • 定期的な健康診断で尿のpH・結晶の有無・比重をチェック

  • 症状がなくても年1〜2回の尿検査をおすすめ

食事管理(療法食やpH調整)

  • 結石の種類に応じた専用療法食を継続

  • 自由に市販食へ戻すのはNG(再発リスク)

  • 必要に応じてpHコントロール・ミネラル制限がされた食事を選ぶ

4. 適正体重・適度な運動

  • 肥満は結石リスクを高めるため、体重管理が重要

  • 適度な運動で排尿の回数を確保し、尿の停滞を防ぐ

5. 排尿の観察と生活環境の整備

  • トイレを我慢させず、いつでも排尿できる環境を整える

  • 排尿姿勢・回数・尿の色の変化に日々注目する

最後に

犬の膀胱結石・尿石症・結晶尿は、どんな年齢や犬種でも起こりうる身近な泌尿器のトラブルです。

しかし、日頃の水分摂取・食事管理・定期的な尿検査によって、予防や早期発見が可能な病気でもあります。

「おしっこ」の小さな変化を見逃さず、愛犬が快適に長く健康で暮らせるようサポートしてあげましょう。

ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制

セカンドオピニオン設置

下部尿路疾患の症状に対して迅速に対応し、必要な検査(血液検査・尿検査・レントゲン・超音波・CT検査など)を実施して、原因を特定し適切な治療を行います。

特に「頻尿」「血尿」「尿が出ない尿閉」などのケースでは、早期の処置が非常に重要です。

また、専門診療の腎泌尿器科(室 卓志獣医師)を設けているため、セカンドオピニオン、さらには重症化した下部尿路疾患や慢性腎臓病など、長期的なケアが必要なケースの受け入れを行っております。

横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。

 

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