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【横浜市・川崎市・大和市近隣にお住まいの飼い主様へ】犬さんや猫さんの咳の原因と疾患を徹底解析

【循環器診療】森山 寛大

【担当科目】総合診療科・循環器科

 

 

 【循環器診療】佐藤 貴紀

 【担当科目】総合診療科・循環器科・栄養管理科

 

 

「たかが咳」と見逃さないで。隠れているかもしれない病気

「うちの子、最近よく咳をするけど、大丈夫かな?」

そんな飼い主さんからのご相談が増えています。咳は単なるのどの違和感だけでなく、さまざまな病気のサインであることがあります。今回は、犬さんや猫さんに見られる咳の原因と関連する主な疾患について、獣医師の視点から解説いたします。

咳ってどこから?どんな仕組み?

咳は、気道の異物・炎症・分泌物などの刺激に対して、反射的に発生する呼吸器防御反応です。

咳の反射の仕組みは以下のように構成されます

  • 受容体:受容体とは、「体が咳を出す必要があると判断するためのセンサー」のようなもので、咳の受容体は咽頭、喉頭、気管、気管支、耳介部迷走神経領域などに存在します
  • 求心路:求心路とは、体のセンサー(受容体)から脳や中枢神経に向かって情報を伝える神経の通り道のことであり。迷走神経を介して伝わります。
  • 中枢:咳中枢とは、「咳を出すかどうか」を判断し、体に命令を出す“司令塔”のような場所で、脳の最下部にある延髄に咳中枢があります。
  • 遠心路:遠心路とは、脳や脊髄から体に「動け!」という命令を伝える神経の通り道であり、反回神経・横隔神経・肋間神経があります
神経 命令が届く場所 役割
反回神経 声門まわりの筋肉
声門をしっかり閉じてから一気に開けて、咳を爆発的に出す
横隔神経 横隔膜 肺を強くしぼって咳を出す力を作る
肋間神経 肋間筋(胸の筋肉) 胸を動かして息をはく力をサポートする
  • 効果器:効果器とは、脳からの命令を受けて、実際に体を動かす“働き手”のことであり、声門・横隔膜や肋間筋の呼吸筋群がこの反射によって、異物・病原体の排除や痰の除去が行われます。

犬さんが咳をする瞬間、体ではこんなことが起きています

  1. 声門がギュッと閉じる(圧をためる)

  2. 横隔膜と肋間筋がギューっと縮まる(力をためる)

  3. 声門が一気に開く(圧を解放)

  4. 「ゴホッ!」と空気と一緒に異物や痰が外へ出る

この咳の動作を実際に行っているのが、効果器です。

犬さんで多い咳の原因と主な疾患

主な原因 疾患名 特徴
感染症 ケンネルコフ(伝染性気管気管支炎)
若齢犬や多頭飼育環境で多い。乾いた咳、発熱、くしゃみを伴うこともあります。
気管の構造異常 気管虚脱
小型犬に多い。ガーガーというガチョウのような咳。興奮や運動後にみられる。
心臓病 僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)
左心房拡大による気管圧迫で咳が出る。特に夜間や早朝に多い。
肺疾患 慢性気管支炎 長期間続く湿った咳や、呼吸困難を伴う場合も。
寄生虫 肺虫症
地域や環境により発生。慢性的な咳や血痰の可能性も。

犬さんで見られる咳の原因には、前述のほかにも肺炎(細菌性・誤嚥性)、肺水腫(心不全や中毒に伴う)、咽頭炎・喉頭炎(上部気道の炎症)、異物誤嚥(草や小物、おもちゃなど)、気管支拡張症腫瘍(気道や肺)などがあり、咳の性質や随伴症状から鑑別が必要です。慢性化する咳は、多因子的であることも多く、画像診断(レントゲン検査やCT検査)や気管支鏡検査による気管支肺胞洗浄液の検査などが診断に役立ちます。

猫さんで多い咳の原因と主な疾患

主な原因 疾患名 特徴
気道アレルギー 猫の喘息
若齢〜中年に多い。発作的な咳や呼吸困難。ゼーゼー音が特徴。
感染症 マイコプラズマ、カリシウイルス
咳に加えてくしゃみ、鼻水、食欲低下を伴うことも。
肺疾患 肺炎、肺腫瘍
慢性の咳や元気食欲の低下を伴う。高齢猫では腫瘍も念頭に。
寄生虫 肺虫症(Aelurostrongylus属)
保護猫や外飼猫でまれに見られる。慢性咳、レントゲン異常あり。

猫で見られる咳の原因には、喘息や感染症以外にも誤嚥性肺炎心疾患(特に肥大型心筋症)による肺うっ血慢性気管支炎異物吸引(猫砂や植物片)胸水や膿胸横隔膜ヘルニア末期のフィラリア感染などがあります。特に猫は症状を隠す傾向があり、呼吸異常や咳が見られた場合は注意が必要です。診断にはレントゲン、心エコー、気管支鏡検査などが有効です。

犬猫の咳に対して行う主な検査リストと説明

  1. 身体検査・問診

     ・咳の音やタイミング、頻度、持続期間などを確認

     ・聴診で心雑音、肺音、咽頭・喉頭異常を評価

  2. 胸部X線(レントゲン)検査

     ・肺、気管、心臓の状態を評価

     ・気管虚脱、肺炎、肺腫瘍、心肥大、肺水腫などを評価

  3. 超音波検査(心エコー)

     ・心臓の動きや弁の逆流を確認

     ・左心房拡大、僧帽弁閉鎖不全症、肥大型心筋症の診断に有効

  4. 血液検査(CBC・生化学・炎症マーカー)

     ・感染や炎症の有無(WBC、CRP)

     ・心不全マーカー(NT-proBNP)や全身状態の評価

  5. 気管支肺胞洗浄(BAL)

     ・気道内の細胞や病原体を採取・分析

     ・喘息、慢性気管支炎、感染症(マイコプラズマ等)の診断に重要

  6. 喉頭・気管支鏡検査

     ・喉頭麻痺、異物、腫瘍、気道の構造異常を直接観察

     ・組織生検や分泌物採取も可能

  7. 糞便検査(Baermann法)

     ・肺虫(猫:Aelurostrongylus、犬:Capillariaなど)の検出

     ・咳の原因が寄生虫由来かどうかを評価

  8. PCR検査(咽頭・BALスワブ)

     ・感染性病原体(Bordetella、マイコプラズマ、ウイルスなど)の検出

     ・迅速かつ高感度な病原体診断が可能

  9. CT検査

     ・X線で見えにくい病変(小さな腫瘍、リンパ節、気道構造)を詳細に評価

     ・腫瘍や気管支拡張症などの精査に有効

  10.  動脈血ガス分析・SpO₂測定

     ・呼吸不全や低酸素の有無を評価

     ・重症例や入院管理時に実施される

まとめ

犬さんや猫さんの咳は、単なる風邪症状にとどまらず、気管・肺・心臓・感染症・腫瘍・寄生虫など、さまざまな疾患が関与する重要なサインです。咳の音やタイミング、持続期間などの情報に加え、レントゲンや心エコー、血液検査、気管支洗浄、PCR検査などを組み合わせて診断を行います。特に猫は症状を隠しやすいため注意が必要です。咳が続く場合は早期に動物病院での診察を受けることが大切で、的確な診断と治療により、動物の健康を守ることができます。

ハグウェル動物総合病院の体制

セカンドオピニオン設置

今回の咳か、くしゃみか、逆くしゃみかの判断がわからないケースなど、的確な診断が必要な場合は、ハグウェル動物総合病院の循環器科をご予約ください。症状に対して迅速な対応を行います。

必要な検査として身体検査、血液検査、心エコー検査、レントゲン検査、心電図検査、血圧検査などを実施して、原因を特定し適切な治療を行います。

早期発見をしながら、どのタイミングで、どの投薬が望ましいのか、循環器認定医としっかり相談し決定することをお勧めいたします。

また、専門診療の循環器科(森山 寛大 獣医師・佐藤 貴紀 獣医師)を設けているため、セカンドオピニオンの受け入れも行っております。

横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。

ご予約・ご相談はお気軽に!

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