【監修】中津 院長
【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科
「てんかん」「けいれん」「発作」「失神」──診察の中で耳にしたことはありませんか?
これらの言葉にはそれぞれ明確な定義と意味があります。「なんとなく怖い」「似ていて区別がつかない」という方も多いかもしれません。少し専門的な内容になりますが、わかりやすく解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
定義の説明
てんかん(Epilepsy)
定義:「てんかんとは、脳の神経細胞の異常興奮により引き起こされる発作を繰り返し起こす脳の病気」
分類:病名
原因による分類:
-
特発性てんかん:
若齢(6か月~6歳)で初めて、てんかん発作を起こし、MRIや脳脊髄液検査で異常がない事が特徴です。遺伝が関係することもあります(例:ベルジアンシェパードなど)。 -
構造的てんかん:
脳腫瘍や脳炎など脳が障害を受ける事により発作が引き起こされます。MRIや脳脊髄液検査でその原因を診断します。高齢で増える傾向があります。
猫さんではFIPやトキソプラズマなど感染が原因のこともあります。
てんかんの病気に関しては、別ブログで詳細をアップいたします。
けいれん(Seizure / Convulsion)
定義:「全身または一部の筋肉が発作的に急激かつ不随意な収縮によって生じる運動症状のこと。中枢神経や代謝異常が原因となることが多い」
分類:症状
解説:けいれんは“発作”の症状のうちの1つです。原因として、てんかんや脳腫瘍などの脳疾患、低カルシウム血症・低血糖・肝性脳症など多くの代謝性疾患、チョコレートやキリトールによる中毒などによっても起こります。
発作(Seizure / Episode)
定義:「突然で短時間の一時的に持続する身体的・精神的異常現象の総称」
分類:症状
解説:よく間違えられますが、厳密に言うと”発作”とは決まった症状を指す言葉ではなく、突発的、短期間持続する全ての症状を指します。例えばてんかん発作もそうですが、心臓発作や過呼吸発作など様々な症状として使われています。
失神(Syncope)
定義:「一過性の脳虚血によって生じる、急性かつ短時間の意識消失。すみやかに自然回復する」
分類:症状
解説:失神は大きく3つのタイプに分けられます。心臓の病気(心原性失神)によって、心臓のリズムが乱れたり、血をうまく送れなくなると脳に酸素が届かず失神します。小型犬の心臓病や猫の心筋症でよく見られます。次に、自律神経のトラブル(神経調節性・反射性失神)で強い咳、排便、驚いたときなどに血圧が下がり、一時的に失神します。咳が多い犬(気管虚脱など)でよく見られます。最後に全身状態の異常(代謝性・呼吸性失神)低血糖や酸欠、重い貧血などで脳に十分な酸素やエネルギーが届かず失神します。子犬・老犬・病気中の動物に注意が必要です。
まとめ
- てんかんは病名、けいれん・発作・失神は症状ということがわかりました。
そして
- けいれんとは筋肉が自分の意志と関係なく、ビクビク動くこと。
- 発作(ほっさ)とは突然に起こる、身体や意識の異常のことをまとめて「発作」と呼びます。
※けいれんも「発作の一種」です。
- 失神とは一時的に意識を失うことです。
とはいえ、
症状の見え方など飼い主様が判断するのは、とても難しいといえます。なんだか体が震えている、意識が遠い気がするなどあればあれば必ず動物病院で相談しましょう。そして、神経疾患は特殊な治療を要することが多いため、専門診療を行っているハグウェル動物総合病院をご利用ください。
ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制
セカンドオピニオン設置
神経症状に対して迅速な対応を行います。
必要な検査として神経学的検査(反応・歩様など)、血液検査、CT(脳構造評価)、(理想的には)脳波検査、CSF(髄液)検査、MRI検査を実施して、原因を特定し適切な治療を行います。
特に「けいれん」「発作」「失神」などのケースでは、的確な診断が非常に重要です。
また、専門診療の神経科(中津 央貴獣医師)を設けているため、セカンドオピニオン、さらには繰り返すけいれん発作など、治りが悪い症状の受け入れを行っております。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
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