【監修】中津 院長
【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科
「雨の日になると、なんだかぐったりして動かない」「突然倒れて、手足をバタバタ…あれって、もしかして発作?」そんなお悩みを抱える飼い主さんが、実は増えています。
最近の研究や臨床現場でも注目されているのが、「気圧の変化とてんかん発作の関係」。
今回は、気圧の変化で起こりうる症状と、隠れているかもしれない“てんかん”について解説します。
目次
気圧と脳の関係 〜なぜ発作が起きやすくなる?〜
人では台風など大気圧が急激に変化すると、私たちの身体の内圧とのバランスが崩れ、自律神経や脳内の電気的な活動にも影響を与えます。
犬さんや猫さんでも同様に、気圧の変化により以下のような状態が誘発されやすくなります。
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脳の血流変動
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神経伝達の過敏化
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ストレス など
これらが組み合わさることで、発作を「引き起こしやすくなる」と考えられています。
気圧変化で見られやすい“発作”のサイン
気圧が低下する日の前後に、次のような様子が見られたら要注意です。
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突然、体が硬直して倒れる(全身性の発作)
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手足をバタつかせるような動き
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意識がない・呼びかけに反応しない
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よだれを垂らす、失禁する
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数十秒〜数分で回復する
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その後、ぐったり・ぼーっとする、うろうろ徘徊する(回復期)
これらは典型的なてんかん発作の可能性があります。
てんかん以外にも注意すべき疾患
ただし、発作のように見えても、以下のような疾患が原因の場合もあります。
症状の様子 | 考えられる他の病気 |
急な虚脱・失神 | 心臓病(不整脈、僧帽弁閉鎖不全症) |
ふらつき・目が揺れる | 前庭疾患(中耳炎、脳腫瘍) |
後肢の震え・倒れこみ | 椎間板ヘルニア、低血糖 |
正確な診断には、発作の動画記録や血液検査・画像検査(MRIなど)が重要です。(*当院では、てんかんの最先端の治療を行うことはできますが、MRI検査などが必要な場合には他院にて検査のみ受けていただくこともあります。ご了承ください)
飼い主さんにできること
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発作の前後を動画に撮る
→ 診断に非常に役立ちます。発作の継続時間や状況も記録しておきましょう。 -
気圧アプリで変化をチェック
→ 発作が起きたタイミングと天候・気圧を記録。傾向がつかめることもあります。 -
安全な環境を整える
→ 発作時にぶつからないよう、床にクッション材などを置くと安心です。 -
発作が5分以上続く/1日に何度も発作を起こす時はすぐ受診
→ 命に関わる「重積発作」の可能性があります。
まとめ 〜「ぐったり」は見逃せないサイン〜
「気圧が変化するとぐったりする」
一見、天候のせいかと思いがちですが、そこにてんかんや他の神経疾患が隠れていることもあります。
特に数回繰り返す場合や、ぐったりが発作の後に見られるときは、早めに獣医師にご相談ください。
ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制
セカンドオピニオン設置
神経症状に対して迅速な対応を行います。
必要な検査として神経学的検査(反応・歩様など)、血液検査、CT(脳構造評価)、(理想的には)脳波検査、CSF(髄液)検査、MRI検査を実施して、原因を特定し適切な治療を行います。
特に「けいれん」「発作」「失神」などのケースでは、的確な診断が非常に重要です。
また、専門診療の神経科(中津 央貴獣医師)を設けているため、セカンドオピニオン、さらには繰り返すけいれん発作など、治りが悪い症状の受け入れを行っております。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
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