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【横浜鶴ヶ峰院】愛犬・愛猫の下痢や嘔吐、どう治す?消化器疾患の仕組みとおすすめ療法食の選び方

 

【栄養管理科専門診療】佐藤 貴紀 獣医師

【担当科目】 循環器科、栄養管理科

 

 

動物病院での診察において、「下痢をした」「吐いてしまった」「なんとなく食欲がない」といった消化器症状は、非常に多く見られるトラブルです。

一時的な食べすぎやストレスによるものもあれば、長引く慢性疾患や、命に関わる急性の病気が隠れていることもあります。

今回は、犬猫さんの代表的な「消化器疾患」の仕組みと、治療の大きな柱となる「療法食」について、獣医師の視点から詳しく解説します。

犬と猫の消化器の仕組みと、代表的な疾患

食べたものを消化・吸収し、排泄するまでの通り道である消化器。口から始まり、食道、胃、小腸、大腸(結腸・直腸)へと繋がっており、さらに消化酵素を分泌する「膵臓」や「肝臓」などの臓器も重要な役割を担っています。

引用:https://portal.v.royalcanin.jp/health-and-foods/constipation/

消化器のどこに異常が起きているかによって、症状や治療法、そして「どんな食事を摂るべきか」が変わってきます。代表的な疾患をいくつか見ていきましょう。

1. 急性・慢性胃腸炎

ウイルスや細菌の感染、寄生虫、誤食、急な食事の変更などが原因で起こる急性のものと、数週間以上にわたって下痢や嘔吐が続く慢性のものがあります。慢性腸炎の中には、免疫の異常が関わっているとされる「炎症性腸疾患(IBD)」などの重篤な病気も含まれます。腸の粘膜がダメージを受けると、栄養をうまく吸収できなくなり、体重減少や脱水を引き起こします。

2. 膵炎(すいえん)

膵臓は、食べ物を溶かすための強力な「消化酵素」を分泌する臓器です。通常、この酵素は腸に届いてから働くように安全装置がかかっていますが、何らかの原因で膵臓内にとどまったまま活性化してしまうことがあります。これが膵炎です。

自らの消化酵素で自分自身の膵臓を消化(自己消化)してしまい、激しい腹痛や嘔吐、発熱を引き起こす、非常に恐ろしい病気です。

脂肪分の多い食事は膵臓に負担をかけ、膵炎の引き金になることがあるため、厳密な脂質制限が必要になります。

なぜ「消化器用の療法食」が必要なの?

消化器疾患の治療において、お薬と同じくらい重要なのが「食事療法」です。

胃腸が弱っているときに普段通りの食事を与えると、消化不良を起こしてさらに症状を悪化させてしまいます。消化器用の療法食には、以下のような特徴があります。

  • 高消化性: 少ない負担でしっかり栄養を吸収できるよう、消化に優れた良質なタンパク質や炭水化物を使用しています。
  • 脂質の調整: 膵炎や、脂肪の消化が苦手な子のために、脂肪分を大幅にカット(低脂肪)したものがあります。逆に、少量の食事でエネルギーを確保するために高脂質・高カロリーに設計されているものもあります。
  • 腸内環境の改善: プレバイオティクス(善玉菌のエサとなる繊維)や、適切なバランスの食物繊維を配合し、腸内の健康な細菌バランスを取り戻します。

 

【獣医師厳選】代表的な消化器用療法食の特長

当院でもよく処方する、「ロイヤルカナン」「ヒルズ」「Dr’s(ドクターズ)」の製品から、代表的なものを抜粋してご紹介します。同じ「消化器用」でも、それぞれ得意とするアプローチが異なります。

ロイヤルカナン (ROYAL CANIN)

嗜好性が高く、症状の重さや状態に合わせたラインナップが非常に豊富なのが特徴です。

・消化器サポート(犬さん用 / 猫さん用) 消化性が極めて高い原材料を使用し、少ない食事量でも必要なエネルギーをしっかり摂取できるよう高エネルギーに調整されています。急性・慢性の下痢、回復期の栄養補給に最適です。

・消化器サポート 低脂肪(犬さん用) ドライ / ウェット(缶詰) 膵炎や高脂血症など、脂肪の制限が必要な疾患のために脂質を厳しくカットしています。ドライフードだけでなく、ウェットタイプ(缶詰)のラインナップがあるのも非常に大きな強みです。 消化器症状がある時は、吐き気や腹痛で食欲が落ちたり、脱水気味になったりすることが多々あります。缶詰はお肉の良い匂いで嗜好性が高く、食事と一緒に水分補給もできるため、治療初期や食欲不振時の「とにかくまずは食べてほしい」という時にとても重宝します。

・消化器サポート 可溶性繊維(猫さん用) 便秘の猫さんに非常に効果的で、便の水分を保ち柔らかくする働きがある特別な食物繊維が配合されています。

ヒルズ (Hill’s Prescription Diet)

腸内バイオーム(腸内細菌叢)の研究に力を入れており、最新の栄養学に基づいたアプローチが魅力です。

  • i/d(アイディー) / i/d ローファット(犬さん用)
    消化器ケアのスタンダード。消化に優れたタンパク質と脂肪を使用し、電解質とビタミンB群を補給して回復を助けます。犬さん用のローファット(低脂肪)は、膵炎や胃腸炎の犬に広く処方されるベストセラーです。
  • 腸内バイオーム(犬さん用 / 猫さん用)
    ヒルズ独自の「アクティブバイオーム⁺テクノロジー」を採用。腸内の善玉菌を育む複数の食物繊維をブレンドしており、最短24時間で軟便をケアし、健康な便への改善をサポートする画期的なフードです。繊維反応性の疾患に強いです。

Dr’s(ドクターズケア / ドクターズダイエット)

日本の獣医師が監修し、日本の気候や飼育環境、日本で暮らす犬猫の嗜好に合わせて作られた国産の療法食です。

  • ドクターズケア 消化器ケア(犬さん用 / 猫さん用)
    消化性の高い原材料(米、フィッシュミールなど)を厳選して使用。胃腸への負担を減らすだけでなく、フラクトオリゴ糖などのプレバイオティクスを配合し、健康な腸内環境の維持に配慮しています。
  • ドクターズケア 消化器ケア 低脂肪(犬用)
    膵炎や高脂血症などの脂肪制限が必要な犬のために、脂肪分を大幅に低減。国産ならではの安心感と、小粒で食べやすい形状が、小型犬の多い日本で高く評価されています。

療法食を与える際の注意点

療法食は「食事の形をしたお薬」のようなものです。以下の点に必ず注意してください。

  1. 自己判断での切り替えはNG
    「下痢をしているから低脂肪が良いだろう」と安易に判断すると、本来必要なカロリーが足りなくなったり、病態に合わず悪化させたりすることがあります。必ず獣医師の診断を受けてから与えてください。
  2. 切り替えはゆっくりと
    急に新しい食事に変えると、それ自体が胃腸の負担になり下痢を引き起こすことがあります。今までの食事に療法食を1割、2割と少しずつ混ぜていき、1週間ほどかけてゆっくり移行しましょう。
  3. おやつは原則禁止
    せっかく療法食で脂質や栄養バランスを完璧に調整していても、市販のジャーキーやチーズなどを与えてしまうと治療の意味がなくなってしまいます。ご褒美を与えたい場合は、療法食の粒をそのままおやつ代わりに使うことをおすすめします。

おわりに

消化器のトラブルは、動物たちにとって非常に不快で苦しいものです。しかし、正しい診断と、その子の状態にぴったり合った「療法食」を選ぶことで、劇的に症状が改善することも珍しくありません。

「最近うんちが緩いな」「吐く回数が増えたな」と感じたら、お早めに当院までご相談ください。その子に最適な食事をご提案させていただきます。

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