

【専門診療】中津 院長
【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科
犬猫さんにおける持続的な発情の1つにメスにおける卵巣腫瘍があります。卵巣腫瘍は発生頻度としては高くはないものの、発見が遅れると全身状態に大きく影響する重要な疾患です。特に未避妊の個体で発生リスクがあるため、予防・早期発見の観点からも理解しておくべきテーマです。
目次
卵巣腫瘍とは
犬さん
卵巣に発生する腫瘍で、大きく以下の3つに分類されます。
・上皮性腫瘍(腺腫、腺癌など):乳頭状腺腫など約50%、4~15歳(中央値10歳)、両側性の発生もあります。
・性索間質腫瘍(顆粒膜細胞腫など):顆粒膜細胞腫は卵巣腫瘍全体の50%を占めます。
・胚細胞腫瘍:6~12%とされ、未分化胚細胞種(悪性、早期の転移は少ない)、奇形腫(20ヶ月~9歳、多くは6歳以下)、多くは一側性とされます。
犬さんでは顆粒膜細胞腫が比較的多く、猫さんでは報告数自体が少ないものの同様のタイプがみられます。
・発生:犬全腫瘍中0.5~1.2%、未避妊雌では6.25%と言われています。
猫さん
発生:罹患率0.7~3.6%と報告されています。
・上皮系細胞腫瘍:極めてまれ、両側性とされています。
・胚細胞腫瘍:約15%が未分化胚細胞腫瘍(平均年齢7歳)、両側性で巨大化します。奇形種はまれとされています。
・性索間質細胞腫瘍:猫さんで最も多く50%以上、顆粒膜細胞腫が最も多く、一側性とされています。
原因・リスク因子
明確な原因は完全には解明されていませんが、以下が関与すると考えられています。
・未避妊であること
・加齢(中高齢で増加)
・ホルモン刺激の持続
特に発情を繰り返している個体では、卵巣への慢性的な刺激が腫瘍化に関与する可能性があります。
症状
卵巣腫瘍は無症状で偶発的に見つかることもありますが、ホルモン分泌の有無によって症状が大きく異なります。
① ホルモン産生腫瘍の場合
・発情の持続や異常(発情が終わらない)
・外陰部の腫脹
・脱毛(特に左右対称)
・乳腺の発達
② 腫瘍の増大による症状
・腹部膨満
・元気消失、食欲低下
・腹水貯留
・腫瘍の破裂による急性腹症
顆粒膜細胞腫ではエストロゲン過剰により骨髄抑制を起こし、貧血や免疫低下を引き起こすこともあります。
診断方法
診断は複数の検査を組み合わせて行います。
・身体検査(腹部触診)
・超音波検査(最も発見に重要です)
・レントゲン検査
・血液検査(貧血、炎症、ホルモン影響の評価)
・ホルモン測定(エストロゲンなど)
確定診断は摘出後の病理検査によって行われます。
治療
基本的な治療は外科的切除です。
・卵巣子宮摘出術(OHE)が第一選択
・腫瘍の破裂や播種がある場合は予後不良
・悪性腫瘍ではCT検査などによる転移(肺、腹膜など)の評価が重要
一部の悪性腫瘍では補助的に抗がん剤治療が検討されることもありますが、外科切除が最も重要です。
予後
・良性腫瘍:完全切除で良好
・悪性腫瘍:転移や播種の有無で大きく左右
特に腹腔内播種や遠隔転移がある場合は予後が厳しくなります。
予防
最も有効な予防は避妊手術です。
若齢期での避妊により、卵巣腫瘍はほぼ完全に予防可能です。また、子宮疾患(子宮蓄膿症)や乳腺腫瘍のリスク低減にもつながります。
まとめ
卵巣腫瘍は発生頻度こそ高くないものの、ホルモン異常や全身症状を引き起こす重要な疾患です。未避妊の犬猫さんでは定期的な健康診断と画像検査が早期発見につながります。
そして何より、予防可能な疾患であるという点が重要です。適切なタイミングでの避妊手術は、将来的なリスクを大きく下げる有効な選択肢といえます。
臨床現場においては「症状が出てから」ではなく、「出る前に防ぐ」視点が、動物とご家族の負担を大きく減らします。
ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制
セカンドオピニオン設置
ハグウェル動物総合病院では、腫瘍疾患に直面した飼い主様と動物さんに、より良い選択をしていただけるよう セカンドオピニオン外来 (専門診療の腫瘍科、中津 央貴獣医師)を設けています。
腫瘍は種類や進行度によって治療方法が大きく異なり、外科手術・化学療法・放射線治療・緩和ケアなど多様な選択肢があります。そのため、診断や治療方針について複数の視点から検討することが大切です。
当院ではCTなどの高度画像診断を用い、腫瘍の性質や広がり、転移の有無を的確に把握したうえで、専門的な知見をもとに治療方針をご提案いたします。セカンドオピニオンを通じて、飼い主様が納得し、安心して治療に臨んでいただけることを第一に考えています。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
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