

【専門診療】中津 院長
【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科
まぶたにできる「できもの」は、飼い主様からはすべて同じように見えることが多いですが、実際には腫瘍性と炎症性で全く異なる疾患が含まれています。
本ブログでは、代表的なマイボーム腺腫に加え、「ものもらい」と呼ばれる霰粒腫・麦粒腫との違いを獣医師視点で整理します。
目次
マイボーム腺腫とは
マイボーム腺腫は、まぶたの縁にあるマイボーム腺(脂腺)が増殖してできる良性腫瘍です。
特徴
・中高齢の犬さんで多い
・ゆっくり大きくなる
・イボ状でしっかりした質感
・基本的に痛みは少ない
臨床的に重要な点
腫瘍自体は良性でも、角膜に当たることで慢性的な刺激を起こし、角膜炎や角膜潰瘍を引き起こすことがあります。
「ものもらい」とは何か
一般的に「ものもらい」と呼ばれるものには、以下の2種類があります。
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
いわゆる急性の細菌感染による炎症です。
原因
・細菌感染(主にブドウ球菌など)
・免疫低下や皮膚状態の悪化
症状
・急に腫れる
・赤み、痛みが強い
・膿がたまることがある
・触ると嫌がる
治療
・抗生物質(点眼・内服)
・温罨法
・排膿処置(必要に応じて)
霰粒腫(さんりゅうしゅ)
マイボーム腺の分泌物が詰まり、慢性的な炎症を起こした状態です。
原因
・マイボーム腺の閉塞
・分泌異常
症状
・比較的ゆっくり発生
・痛みは軽度〜無いことも多い
・しこり状に触れる
・炎症が強いと腫れる
治療
・温罨法
・点眼薬
・改善しない場合は外科的切除
鑑別のポイント(臨床での見分け)
以下は非常に重要な判断軸です。
発症スピード
・急に腫れる → 麦粒腫
・徐々に大きくなる → マイボーム腺腫 / 霰粒腫
痛み
・強い痛み → 麦粒腫
・ほぼ無痛 → マイボーム腺腫
見た目
・赤く腫れている → 麦粒腫
・イボ状に突出 → マイボーム腺腫
・しこり状で軽度炎症 → 霰粒腫
なぜ鑑別が重要なのか
ここが臨床上の最も重要なポイントです。
・マイボーム腺腫 → 腫瘍(切除が基本)
・麦粒腫 → 感染症(抗菌治療)
・霰粒腫 → 炎症性(保存療法 or 切除)
つまり、「見た目が似ていても治療方針が全く異なる」ため、自己判断は非常に危険です。
治療の考え方(まとめ)
マイボーム腺腫
・角膜刺激があれば積極的に切除
・小さければ経過観察も可
麦粒腫
・抗菌治療が主体
・多くは内科的に改善
霰粒腫
・温罨法+点眼
・改善しなければ外科
飼い主様への重要なメッセージ
・「ものもらいだと思っていたら腫瘍だった」というケースは珍しくない
・逆に「腫瘍だと思っていたら炎症」というケースもある
・見た目だけでは判断できない
そのため、「まぶたにできもの=まず診察」が非常に重要です。
獣医師としての視点
まぶたの疾患は小さく見えても、角膜という極めて重要な組織に直結しています。
特にマイボーム腺腫は“良性だが放置するとQOLを下げる腫瘍”であり、早期介入の判断が鍵になります。
一方で、炎症性疾患は過剰な外科介入を避けるべきケースも多く、正確な鑑別が治療の質を左右します。
ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制
セカンドオピニオン設置
ハグウェル動物総合病院では、腫瘍疾患に直面した飼い主様と動物さんに、より良い選択をしていただけるよう セカンドオピニオン外来 (専門診療の腫瘍科、中津 央貴獣医師)を設けています。
腫瘍は種類や進行度によって治療方法が大きく異なり、外科手術・化学療法・放射線治療・緩和ケアなど多様な選択肢があります。そのため、診断や治療方針について複数の視点から検討することが大切です。
当院ではCTなどの高度画像診断を用い、腫瘍の性質や広がり、転移の有無を的確に把握したうえで、専門的な知見をもとに治療方針をご提案いたします。セカンドオピニオンを通じて、飼い主様が納得し、安心して治療に臨んでいただけることを第一に考えています。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
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