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腎泌尿器科

【腎泌尿器科診療】室 卓志 獣医師
【担当科目】総合診療科・腎泌尿器科・消化器科
犬さん・猫さんと暮らしていると、ふとした瞬間に「最近ちょっと丸くなったかも?」と感じることがありますよね。
ですが実際には、体重の数字だけで「太っている・太っていない」を判断するのは難しく、体型や生活習慣、年齢などを含めて総合的に評価することが大切です。
そして、肥満は見た目の問題ではありません。
体にさまざまな負担をかけ、病気のリスクを上げてしまう“健康上の大きな要因”です。
今回は、犬猫さんの体重管理の基本と、肥満によって起こりやすくなる病気、特に泌尿器疾患(尿石症・膀胱炎など)のリスクについて、獣医師の視点で詳しく解説します。
太っているかどうかは「体重」だけでは分かりません
犬猫さんの体重管理で大切なのは、体重の数字だけで判断しないことです。
もちろん体重の変化は重要ですが、同じ体重でも筋肉量や体型によって健康状態は大きく変わります。そこで目安になるのが、体型チェックです。
以下のポイントを確認してみましょう。
・肋骨(ろっこつ)が触れるか
軽く触っただけで肋骨がわかるのが理想です。
脂肪が厚く、肋骨が分かりにくい場合は肥満傾向と考えます。
・腰のくびれがあるか
上から見たときに自然なくびれがあるのが理想です。
ずん胴に見える場合は注意が必要です。
・お腹のライン(腹部の引き上がり)があるか
横から見たとき、お腹が少し引き上がっているのが健康的です。
・お腹周りが丸くなりすぎていないか
猫さんは、腰のくびれが分かりにくいことが多いため、肋骨の触れ方や腹部の脂肪のつき方が重要です。特に、お腹がたるんで重たく見える場合は肥満の可能性があります。
これらの評価には、BCS(ボディ・コンディション・スコア)という指標を用いることもあります。
動物病院で獣医師や看護師と一緒に触診をしながら確認すると、より正確に判断できます。
犬猫さんが太りやすいタイミング
犬猫さんには、特に太りやすい時期があります。
・成長期が終わった後
・避妊・去勢手術の後
・運動量が減った時(季節や加齢によるものも含む)
・お留守番時間が増えた時
・多頭飼育で食事管理が難しくなった時
特に避妊・去勢後は、ホルモンバランスの変化により代謝が落ちやすくなります。
その結果、同じ食事量でも体重が増えやすくなり、気づいた時には肥満が進行しているケースも少なくありません。
肥満が引き起こす健康リスク
「少しぽっちゃりしているくらいが可愛い」と言われることもあります。
しかし獣医学的には、肥満はさまざまな病気のリスクを上げることが分かっています。
肥満で起こりやすいリスクは以下です。
・関節への負担(特に犬さん)
・心臓への負担
・呼吸がしづらくなる(短頭種で特に注意)
・糖尿病(猫さんで特に重要)
・肝臓への負担(猫さんの脂肪肝など)
・皮膚トラブル
・麻酔リスクの増加
・そして、泌尿器疾患(膀胱炎・尿石症など)
中でも、泌尿器疾患は犬猫さんのどちらでも非常に多く、肥満と強い関連があるため、しっかり知っておきたいポイントです。
肥満と泌尿器疾患の深い関係
泌尿器疾患は、犬猫さんにとって身近でありながら、重症化すると命に関わることもある病気です。
肥満があると、以下の理由で泌尿器疾患のリスクが上がります。
(1) 排尿回数が減り、尿が膀胱に長くとどまりやすい肥満の犬猫さんは、運動量が少なくなりがちです。すると、排尿回数が減ったり、トイレに行くこと自体が面倒になったりします。
尿が膀胱に長くとどまると、細菌が増えやすくなったり、尿中の成分が結晶化しやすくなったりします。この状態が続くと、膀胱炎や尿石症のリスクが高まります。
(2) 水を飲む量が少ない・ムラがある
犬猫さんにとって、水を飲む量は泌尿器の健康と直結します。
しかし肥満の子では、活動量の低下により水を飲む量が少なくなったり、飲水量にムラが出たりすることがあります。その結果、尿が濃くなりやすく、結晶や尿石ができやすい環境が整ってしまいます。
特に猫さんは、もともと飲水量が少ない傾向があるため、注意が必要です。
(3) 食事・おやつの影響で尿の性質が変わる
体重が増えている子では、おやつや間食が多いケースが非常に多く見られます。
おやつが増えると、
・ミネラルバランスが崩れる
・尿のpHが変化する
・栄養バランスが偏る
といったことが起こりやすくなります。
その結果、尿石(ストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石など)が作られやすくなります。
(4) 膀胱炎が増えることで尿石の引き金になる膀胱炎は尿石症と密接に関係しています。
犬さんでは、細菌性膀胱炎がきっかけでストルバイト結石が形成されることがあります。
猫さんでは、特発性膀胱炎(ストレスなどが関与)が多いですが、肥満や運動不足が関連することもあります。
(5) 猫さんでは「尿道閉塞」が命に関わる緊急疾患
特に猫さん(オス猫さん)では、尿道が細いため、結晶や炎症によって尿が出なくなる「尿道閉塞」が起こることがあります。
尿が出ない状態が続くと、
・急性腎障害
・高カリウム血症
・意識障害
・命に関わる状態
へ進行することもあります。
肥満の猫さんは運動量が少なく、飲水量も少ない傾向があるため、尿道閉塞のリスクが高くなります。
ダイエットの基本は「ごはんを減らす」ではありません
犬猫さんのダイエットは、単純にごはんを減らすだけではうまくいきません。
特に猫さんでは、急激な食事制限をすると「脂肪肝(肝リピドーシス)」という命に関わる病気につながることがあります。
そのため、猫さんのダイエットは必ず獣医師の指導のもとで進める必要があります。
安全にダイエットを進めるポイントは次の通りです。
・まずはおやつの量を見直す
・フードを計量し、適正量を守る
・体質や病歴に合ったフードへ変更する
・必要に応じて療法食を使用する
・無理のない運動を取り入れる
・定期的に体重測定を行う
泌尿器疾患の既往がある子では、
「ダイエット用フード」と「尿路ケア用フード」のどちらを優先すべきかがケースによって変わります。
自己判断でフードを切り替えるのではなく、ぜひ動物病院でご相談ください。
まとめ
・犬猫さんの体重管理は「体重」だけでなく「体型(BCS)」で評価することが大切
・避妊去勢後や成長期後は太りやすい
・肥満は関節や心臓だけでなく、泌尿器疾患(膀胱炎・尿石症)のリスクを高める
・猫さんでは尿道閉塞が命に関わる緊急疾患になる
・ダイエットは「ただ減らす」ではなく、栄養バランスと安全性を重視する
・急な食事制限は危険なため、必ず獣医師と相談しダイエットを行う
ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制
セカンドオピニオン設置
下部尿路疾患の症状に対して迅速に対応し、必要な検査(血液検査・尿検査・レントゲン・超音波・CT検査など)を実施して、原因を特定し適切な治療を行います。
特に「頻尿」「血尿」「尿が出ない尿閉」などのケースでは、早期の処置が非常に重要です。
また、専門診療の腎泌尿器科(室 卓志獣医師)を設けているため、セカンドオピニオン、さらには重症化した下部尿路疾患や慢性腎臓病など、長期的なケアが必要なケースの受け入れを行っております。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
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