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整形外科専門

【専門診療】中津 院長
【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科・整形外科
治療方針の考え方:保存療法か手術か
基本的に、膝の不安定性を根本的に解消するには手術が推奨されます。特に中型犬以上、肥満、活動性が高い、半月板損傷などが疑われ症状が顕著である場合は、手術を検討する方が良いでしょう。場面が増えます。
- 一方で、以下のような条件では保存療法を選ぶこともあります
- 超小型犬〜小型犬で体重が軽い
- 持病があり麻酔リスクが高い
- 飼い主さんが厳密な運動制限とリハビリを実行できる
- 部分断裂で不安定性が軽度、症状が短期的
ただし保存療法でも、関節症の進行を完全に止めるのは難しいため、痛みの管理と筋力維持、再発予防(反対側の膝も含む)が重要になります。
代表的な手術法:何が違うのか
手術方法は体格、膝の骨の形、活動性、整形外科医の経験、設備などで選択されます。大きく分けると次の2系統です。
- 関節外制動術(縫合糸などで膝を安定化)
膝関節の外側に強度のある糸をかけて、損傷した靱帯の代わりの働きをさせることで脛骨が前に出る動きを抑えます。比較的シンプルで小型犬で良好なことが多い一方、大型犬や活動性が高い場合は糸の伸び・切れ・緩みのリスクが上がります。 - 脛骨骨切り術(TPLO、TTAなど)
膝の骨を切って、歩行時に脛骨が前へ押し出されにくい構造に作り替える考え方です。
・TPLO:脛骨高平部の角度を変える
・TTA:膝蓋靭帯の角度関係を変える
中大型犬や活動性が高い犬で、長期的な安定と機能回復が期待されやすい一方、骨を切ってプレートで固定するため、膝が安定するまでの術後管理と合併症対策が重要になります。
どの術式でも、関節内の半月板損傷の評価・処置を同時に行うことが回復の質に大きく影響します。
術後管理とリハビリ:ここが成否を分ける
前十字靭帯断裂は「手術をすれば終わり」ではなく、術後の回復設計がとても重要です。
一般的な考え方(※病院ごとに方針は異なります)
・初期:痛みと腫れを抑え、安静と短時間の排泄散歩
・中期:可動域の回復、体幹と後肢筋力の再教育
・後期:筋力と持久力を上げ、段階的に運動量を増やす
具体的には、体重管理、滑らない床づくり、リード散歩のルール化、必要に応じた理学療法(温熱、マッサージ、レーザー、ハイドロセラピーなど)を組み合わせます。
無理な運動再開は、設置したインプラントの破綻、半月板や反対側の膝を痛めるなどの原因になります。逆に、過度な安静で筋肉が落ちすぎると回復が遅れやすいので、適切な負荷設計が鍵です。
反対側の膝も切れやすい?(両側発症)
犬の前十字靭帯断裂は、時間差で反対側も断裂することが珍しくありません。これは、片側をかばって負担が増えることに加え、もともと靭帯が変性しやすい体質が背景にあるためです。
そのため、片側を治した後も
・体重管理
・後肢筋力の維持
・滑り対策
・急なダッシュやジャンプの制限
を継続する意義が大きいです。
内科的サポート:薬、サプリ、注射、食事
痛みと炎症のコントロールは、手術の有無に関わらず重要です。一般的に用いられるのは、
・消炎鎮痛薬(NSAIDs)
・補助鎮痛(必要に応じて)
・関節ケアの食事療法(適正体重と関節サポート)
・関節系サプリメント(補助的役割)
・関節内治療や生物学的治療(施設・症例により)
などです。
ただし、これらは「膝の不安定性そのもの」を消すものではありません。痛みが落ち着いたように見えても、関節内の損傷が進むことがあるため、治療設計と慎重な経過観察が必要です。
まとめ
犬さんの前十字靭帯断裂の治療は、体重や年齢、活動量、症状の重さによって選択されます。軽度の場合は、安静管理や消炎鎮痛薬、リハビリ、体重管理などの保存療法を行いますが、根本的な安定性回復は難しいことがあります。多くの場合では手術治療が選択され、TPLOやTTAなどの方法により膝関節の不安定性を改善します。術後はリハビリと継続的な運動管理が重要で、再発や反対側の断裂予防も含めた長期的なケアが必要です。症状が出ましたら、早期に受診をお願いします。
ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制
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