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【獣医師監修】犬さんや猫さんに起こる関節炎ってどんな病気?

整形外科専門チーム

【専門診療】中津 院長

【担当科目】総合診療科・神経科・腫瘍科・整形外科

 

 

 

関節炎ってどんな病気?

関節は、骨と骨が合わさる場所で、滑らかな動きを実現するために、軟骨・滑液(関節液)・靭帯・関節包などが協力して働いています。

関節炎では、次のような変化が進みます。

・軟骨が傷つく、薄くなる

・滑膜に炎症が起こり、痛みが出る

・関節の周囲に骨のトゲ(骨棘)ができる

・関節の動きが硬くなる(可動域低下)

・痛みをかばって筋肉が落ち、さらに関節が不安定になる

この「痛み→動かない→筋力低下→さらに痛い」という悪循環が、症状を長引かせる大きな理由です。

犬さんと猫さんで違う、関節炎の気づき方

犬さんは比較的わかりやすく、歩き方や動き方に変化が出やすい傾向があります。一方で猫さんは、痛みを隠すのが得意で、気づかれにくいことが多いです。

症状

犬さんでよく見られるサイン
・散歩に行きたがらない、距離が短くなる

・立ち上がりや歩き始めがぎこちない

・階段やジャンプを嫌がる

・走るのが遅くなる、途中で座り込む

・後ろ足がふらつく、腰を振るように歩く

・触ると嫌がる(特に股関節、膝、肘、背中)

猫さんでよく見られるサイン
・高い所に上らなくなる、上っても降り方が慎重

・ジャンプの回数が減る、失敗が増える

・毛づくろいが減り、被毛が荒れる(痛くて姿勢が取りづらい)

・トイレの縁をまたぐのを嫌がり、粗相が増える

・遊びの時間が短い、動きが少ない

・性格が変わる(触られるのを嫌がる、怒りっぽい、引きこもる)

特に猫さんでは「年のせいかな」と見過ごされがちですが、関節炎が背景にあるケースが少なくありません。

どの関節に多い?

犬さんで多い部位
・股関節(股関節形成不全を背景にしやすい)

・膝(膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂の後など)

・肘(肘関節形成不全など)

・手首、足首

・背骨(脊椎の変形、椎間関節の痛み)

猫さんで多い部位
・肘、股関節、膝

・背骨(特に腰背部)

猫さんは背中の可動性が落ちることで、ジャンプや毛づくろいの変化として出やすいです。

どうして起こるの?(原因とリスク)

関節炎の原因は大きく2つに分かれます。

A:一次性(加齢・体質が中心)
・加齢による軟骨の劣化

・筋力低下、柔軟性低下

B:二次性(別の病気やケガが引き金)
・関節の形成異常(股関節形成不全、肘関節形成不全など)

・膝蓋骨脱臼

・前十字靭帯断裂の後

・骨折や脱臼の後遺症

・肥満(関節への負荷+炎症性物質の増加)

・過度な運動や滑る床など、関節への慢性ストレス

特に肥満は、関節炎の進行を大きく早めます。体重管理は治療の一部と言っても過言ではありません。

動物病院ではどう診断する?

診断は「問診+身体検査+画像検査」が基本です。

1)問診
・いつから、どんな場面で動きづらいか

・散歩や遊びの変化

・痛み止めへの反応(使っている場合)

2)身体検査
・歩き方(跛行)

・関節の腫れ、熱感

・関節の曲げ伸ばしでの痛み

・筋肉量(左右差や萎縮)

・関節の不安定性(靭帯損傷の評価など)

3)画像検査
・レントゲン:骨棘、関節裂隙、骨の変形など

・超音波:関節液、軟部組織の評価に補助的

・CT/MRI:部位や病態によって精査に有用

注意点として、レントゲンの変化が軽くても痛みが強いこと、逆に変形が進んでいても痛みが目立たないことがあります。画像だけでなく「生活で困っていること」をセットで評価することが重要です。

治療の基本方針(ゴールは痛みを減らし、動ける体を保つ)

関節炎の治療は、単発ではなく「継続して最適化していく治療」です。基本は次の4本柱で考えます。

(1) 体重管理
・適正体重へ近づけるだけで痛みが軽くなることが多い

・食事量の調整、低カロリー高たんぱく設計、間食の見直し

・猫でも減量は非常に有効(急激な減量は危険なので計画的に)

(2) 運動療法(やり過ぎない、やめ過ぎない)
・短時間を毎日、が基本

・犬さんは「長距離より小分け散歩」「坂や階段は症例次第」

・猫さんは「短時間の遊びを複数回」「滑らない環境で」

・痛みが強い時期は無理をしないが、完全に動かさないのも逆効果

(3) 薬物療法
主に痛みと炎症を抑え、動ける状態を作る目的です。
・消炎鎮痛薬(NSAIDs):犬さんでよく使用。腎臓、胃腸、肝臓の評価が重要

・鎮痛補助薬:慢性痛のタイプに応じて併用することがある

・関節の注射療法:症例により検討(ヒアルロン酸など)

猫さんは特に鎮痛薬の選択が犬さんと異なり、腎臓の状態も考慮して慎重に計画します。自己判断で人の痛み止めを与えるのは非常に危険です。

(4) 栄養・サプリメント、理学療法
・関節ケア食やサプリメント(成分は症例により使い分け)

・温熱、マッサージ、ストレッチ(無理のない範囲で)

・リハビリ(筋力維持、可動域維持、姿勢改善)

サプリメントは魔法ではありませんが、薬の量を増やせない症例や、長期管理の土台づくりとして役立つことがあります。選ぶ際は基礎疾患(腎臓病、肝疾患、凝固異常など)も踏まえて相談してください。

自宅でできる環境改善(効果が大きいのに見落とされがち)

関節炎の管理で、環境整備は「毎日効く治療」です。


・滑る床は負担大。カーペットや滑り止めマットを敷く

・フローリングのままなら、動線だけでもマット化する

段差
・ソファやベッドにはステップやスロープを用意

・階段は滑り止め+必要ならゲートで制限

寝床
・体圧分散のマット、冷えない場所

・寒さで痛みが出やすい子は保温が有効

トイレ(特に猫さん)
・ふちが低いトイレに変更

・入口を広く、砂の位置も無理のない高さに

爪・足裏
・爪が伸びると踏ん張れない

・足裏の毛が伸びると滑るため、ケアが有効

受診の目安(このサインは早めに相談)

次のどれかが当てはまる場合は、早めの受診をおすすめします。

・痛みで鳴く、触ると怒る

・急に足を着かない、急激な悪化

・散歩やジャンプを明確に拒否する

・寝ている時間が増えた、活動性が落ちた

・トイレがうまくできない、粗相が増えた

・階段や段差で転ぶ、ふらつく

急に悪化した場合、関節炎だけでなく靭帯損傷、椎間板疾患、神経の病気が隠れていることもあります。

関節炎は「早期発見」と「続けられる治療設計」が勝ち筋

関節炎は完治を目指すというより、痛みを抑えて動ける体を維持し、生活の質を高める病気です。早い段階から、体重管理と環境改善を土台に、必要に応じて薬やリハビリを組み合わせることで、多くの犬猫さんで快適な日常を取り戻せます。

ハグウェル動物総合病院 横浜鶴ヶ峰院の体制

セカンドオピニオン設置

関節の痛みなどの整形外科疾患の症状に対して迅速な対応を行います。

必要な検査として身体検査による触診、レントゲン検査、血液検査、CT検査等を実施して、原因を特定し適切な治療を行います。

特に「跛行」「歩様状態の異常」「外傷による骨折」などのケースでは、的確な診断と治療が非常に重要です。

また、専門診療の整形外科(岩田 宗俊 獣医師)を設けているため、セカンドオピニオン、さらには繰り返す跛行など、治りが悪い症状の受け入れを行っております。

横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。

 

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