

監修
【循環器診療】森山 寛大
【担当科目】総合診療科・循環器科
まだまだ寒い日が続いていますね。
実はこの寒さや急激な温度差は、私たち人だけでなく、犬さんや猫さんにとっても体に大きな負担となります。
気温が下がると血管は収縮し、血圧が急激に変動しやすくなります。人ではこの影響により、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす「ヒートショック」が知られていますが、小動物においても同様に注意が必要です。
目次
血栓症とはどんな病気?
血栓症とは、血管や心臓の中に血液の塊(血栓)ができ、それが血管を詰まらせてしまう病気です。
血管・血液・血流のいずれかに異常が起こることで血栓が形成され、血管が閉塞すると「血栓塞栓症」を引き起こします。
人では、動脈硬化や高脂血症、いわゆるエコノミークラス症候群などが原因となることが多いですが、
犬さんや猫さんでは以下の病気に続発して起こることが多いと考えられています。
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心臓病
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腫瘍(がん)
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全身性の炎症
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免疫疾患
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膵炎など
猫さんで特に注意したい「動脈血栓塞栓症(ATE)」
血栓症の中でも、動脈血栓塞栓症(ATE)は、犬さんではまれですが、心筋症を患う猫で突然発症することが多い急性疾患です。
心臓の中でできた血栓が血流に乗って運ばれ、動脈を詰まらせることで発症します。
ATEの主な症状
ATEは突然発症し、非常に強い痛みを伴うことが特徴です。
以下のような症状が見られることがあります。
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突然、大きな声で鳴いて激しく痛がる
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前足や後ろ足が急に動かなくなる(不全麻痺)
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足先が冷たくなり、肉球が白色や紫色に見える
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嘔吐
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呼吸が荒い、苦しそう
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体温の低下
また、血栓が脳に詰まった場合には、
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意識レベルの低下
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ふらつきや起立・歩行困難
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瞳孔の大きさが左右で違う
といった神経症状が現れることもあります。
治療と予後について
発症から数時間以内であれば、血栓を溶かすお薬を使用することで、血流が再開する可能性があります。
しかし、小動物(犬さんや猫さん)におけるATEの治療は非常に難しく、予後も厳しい病気です。
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生存率:約30〜70%
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再発率が非常に高い
そのため、回復した場合でも生涯にわたる血栓予防の内服治療が必要になります。
早期発見と予防が何より大切です
血栓症は、前触れなく突然起こる病気です。
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歩き方がいつもと違う
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急に痛がるような鳴き声を出す
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呼吸の仕方がおかしい
このような異変が見られた場合は、迷わず、すぐに動物病院を受診してください。
また、心臓病の早期発見・適切な治療を行うことで、血栓症の発症リスクを下げることができます。
そのためにも、定期的な健康診断や心臓のチェックがとても重要です。
寒い季節こそ、体調の変化に目を向けて
寒い季節は、体調を崩しやすい時期でもあります。
小さな変化を見逃さず、「少しおかしいかも?」と思った時点での早めの受診が、大切な命を守ることにつながります。
ご不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
ハグウェル動物総合病院の体制
セカンドオピニオン設置
今回の咳か、くしゃみか、逆くしゃみかの判断がわからないケースなど、的確な診断が必要な場合は、ハグウェル動物総合病院の循環器科をご予約ください。症状に対して迅速な対応を行います。
必要な検査として身体検査、血液検査、心エコー検査、レントゲン検査、心電図検査、血圧検査などを実施して、原因を特定し適切な治療を行います。
早期発見をしながら、どのタイミングで、どの投薬が望ましいのか、循環器認定医としっかり相談し決定することをお勧めいたします。
また、専門診療の循環器科(森山 寛大 獣医師・佐藤 貴紀 獣医師)を設けているため、セカンドオピニオンの受け入れも行っております。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
ご予約・ご相談はお気軽に!
LINE・お電話(045-442-4370)・受付(動物病院総合受付)にて承ります♪

