
【循環器診療】森山 寛大
【担当科目】総合診療科・循環器科
【循環器診療】佐藤 貴紀
【担当科目】総合診療科・循環器科・栄養管理科
目次
犬さんの「咳のような症状」にはどんなものがある?
「コンコン」「ガーッ」「オエッ」
犬さんの咳のように見える症状は、実は“本当の咳ではない”ケースも多く、原因も呼吸器だけでなく、心臓・気道の構造・感染症・アレルギーなど多岐にわたります。
ここでは、臨床現場でよく遭遇する咳様症状のタイプ別に、その特徴と考えられる原因を詳しく解説します。
① 本当に「咳」をしているケース(下部気道由来)
特徴
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コンコン、ゴホゴホという乾いた音
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運動後や興奮時に悪化
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夜間・明け方に目立つことがある
主な原因
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気管支炎(慢性・急性)
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感染性呼吸器疾患(いわゆるケンネルコフ)
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肺炎
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気管虚脱(特に小型犬)
・ポイント
咳が数日以上続く・悪化する・発熱や元気消失を伴う場合は、レントゲン検査や血液検査が必要です。
② 「オエッ」とえづく咳(上気道部由来)
特徴
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吐くような仕草だが、実際には吐かない
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首輪を引っ張った時に出やすい
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興奮時や抱っこ時に起こる
主な原因
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気管虚脱
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咽頭・喉頭の炎症
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異物刺激(草・毛・ほこり)
・ポイント
小型犬(チワワ、トイプードル、ポメラニアンなど)に多く、ハーネスへの変更だけで症状が軽減することもあります。
③ ガーガー・ブーブーという音(気道狭窄)
特徴
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ガチョウの鳴き声のような音
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興奮・暑さ・運動で悪化
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呼吸が苦しそう
主な原因
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気管虚脱
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短頭種気道症候群(パグ・フレンチブルなど)
・ポイント
重症例では失神やチアノーゼ(舌が紫になる)を起こすこともあり、早期管理が重要です。
④ 夜間・横になると出る咳(心臓由来)
特徴
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夜や早朝に咳が増える
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寝ているときに咳き込む
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運動を嫌がる、疲れやすい
主な原因
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心臓病による肺うっ血(肺水腫)
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心拡大による気管圧迫
・ポイント
「年だから仕方ない咳」と思われがちですが、心臓病の初期サインであることも多く、レントゲン・心エコー検査が非常に重要です。
⑤ くしゃみ・鼻水を伴う咳様症状
特徴
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連続したくしゃみ
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鼻水(透明~膿性)
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鼻を気にする仕草
主な原因
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鼻炎・副鼻腔炎
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アレルギー
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歯科疾患からの波及
・ポイント
特に片側だけ鼻水が出る場合は、歯根膿瘍や腫瘍なども鑑別に入ります。
飼い主さんが自宅でチェックできるポイント
以下は診察時にとても役立つ情報です
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いつから?(急性/慢性)
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どんな音?(動画があると◎)
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どのタイミングで?(夜・運動後・興奮時)
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元気・食欲・発熱の有無
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首輪 or ハーネス?
まとめ:「咳っぽい」は一つではありません
犬さんの咳様症状は
✔ 呼吸器疾患
✔ 心臓病
✔ 気道の構造的問題
✔ 感染症・炎症
など、原因が全く異なることが多いのが特徴です。
ただ、今回の咳を家で見分けるのは非常に難しく、心臓病など持病がある犬さんがいつもの咳と思っていても、実は肺炎だったこともあるので、自己判断だけで済ませないようにお気をつけください。
「軽そうだから様子見」で済ませず、続く・悪化する・他の症状を伴う場合は早めの受診が、結果的に愛犬の負担を減らします。
ハグウェル動物総合病院の体制
セカンドオピニオン設置
今回の咳か、くしゃみか、逆くしゃみかの判断がわからないケースなど、的確な診断が必要な場合は、ハグウェル動物総合病院の循環器科をご予約ください。症状に対して迅速な対応を行います。
必要な検査として身体検査、血液検査、心エコー検査、レントゲン検査、心電図検査、血圧検査などを実施して、原因を特定し適切な治療を行います。
早期発見をしながら、どのタイミングで、どの投薬が望ましいのか、循環器認定医としっかり相談し決定することをお勧めいたします。
また、専門診療の循環器科(森山 寛大 獣医師・佐藤 貴紀 獣医師)を設けているため、セカンドオピニオンの受け入れも行っております。
横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。
ご予約・ご相談はお気軽に!
LINE・お電話(045-442-4370)・受付(動物病院総合受付)にて承ります♪

