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【獣医師監修】心臓が原因で失神する(倒れる)って本当?

【循環器診療】森山 寛大

【担当科目】総合診療科・循環器科

 

 

 

【循環器診療】佐藤 貴紀

【担当科目】総合診療科・循環器科・栄養管理科

 

 

犬猫さんに起こる「心原性失神」をわかりやすく解説いたします。

「急に倒れた」「意識がなくなった」「数秒で戻ったけど…」。そんな瞬間、飼い主さんは本当に驚かれると思います。実は犬さんや猫さんでは 心臓が原因で失神(倒れる) が起こることがあります。

今回は、その仕組みや見分け方、受診の目安をわかりやすく解説します。

なぜ心臓で失神が起こるの?

失神とは、「脳へ送られる血液が一時的に不足して、意識を失う」状態です。いわゆる脳の低酸素状態が起こるのです。

そして、脳へ血液を送る“ポンプ”の役割をするのが心臓。その ポンプ機能が急に落ちると、脳への血流が不足し、倒れてしまう のです。

特に以下のような心臓トラブルが関係します

原因 具体的な状態
不整脈
心臓の拍動が極端に遅い・速い・途切れる
心臓のポンプ機能の低下
僧帽弁閉鎖不全症などで血液を十分に送り出せない
心臓内の血流が詰まる(血栓など)
肥大型心筋症などで血液が流れにくい

どんな症状が失神の特徴?

失神と“てんかん発作”は混同されがちですが、以下の様子があれば心原性失神を疑います。

  • 運動や興奮後に急にバタンと倒れる
  • 意識がなくなるが短時間(数秒〜数十秒)で回復
  • 発作中の手足のバタつきは少ない/軽い
  • 発作後はすぐに普段通り歩ける、食べられる
  • 咳や呼吸苦、疲れやすさが目立つことも

一方、てんかん発作の場合は手足の長いバタつき、よだれ、失禁、発作後のぼんやりなどが特徴です。

*ただし、症状だけで心原性失神とてんかんによる痙攣を見分けるのは、かなり難しく思い込みは危険です。

心原性失神を引き起こす主な心臓病

犬さんで多い

  • 僧帽弁閉鎖不全症(特に小型犬の中〜高齢期)

  • 房室ブロック、洞不全症候群などの不整脈

猫さんで多い

  • 肥大型心筋症

    • 血栓が形成されて心臓の出口が狭くなる場合は特に起こりやすい
  • 拘束型心筋症

外見からは心臓病だと気づきにくいことも多く、「初めて倒れた」ことが受診のきっかけになるケースも珍しくありません。

病院では何を調べるの?

原因を特定するために、以下の検査を組み合わせて確認します。

検査 内容
聴診
心雑音の有無、不整脈の確認
レントゲン
心臓の大きさ、肺の状態
心エコー検査
心臓や弁の動き、血流の確認
心電図検査
不整脈の種類や程度を評価
ホルター心電図
24時間の拍動を記録し、突発的な不整脈を検出

失神が発生していなくても、不整脈は検査により見つけられることがあります。

こんな時はすぐ病院へ!

  • 失神を1回でも起こした

  • 興奮や運動後に倒れる

  • 呼吸が苦しそう、咳、疲れやすい

  • 歩行時や遊んでいて突然ふらつく

動画が撮れれば診断に非常に役立ちますので、可能であればスマートフォンで記録していただくと助かります。

まとめ

ポイント
心臓病は失神を引き起こすことがある
原因は主に不整脈やポンプ機能低下
数秒で回復しても油断は禁物
早期の検診と心臓検査が重要

倒れる様子を目にされた飼い主さまは、本当に心配だと思います。些細な変化でも、気になることがあればお気軽にご相談ください。大切な動物さんの未来のために、早めの発見・治療を一緒に行っていきましょう。

ハグウェル動物総合病院の体制

セカンドオピニオン設置

今回の咳か、くしゃみか、逆くしゃみかの判断がわからないケースなど、的確な診断が必要な場合は、ハグウェル動物総合病院の循環器科をご予約ください。症状に対して迅速な対応を行います。

必要な検査として身体検査、血液検査、心エコー検査、レントゲン検査、心電図検査、血圧検査などを実施して、原因を特定し適切な治療を行います。

早期発見をしながら、どのタイミングで、どの投薬が望ましいのか、循環器認定医としっかり相談し決定することをお勧めいたします。

また、専門診療の循環器科(森山 寛大 獣医師・佐藤 貴紀 獣医師)を設けているため、セカンドオピニオンの受け入れも行っております。

横浜市から川崎・大和エリアまで、地域の皆さまの“かかりつけ”として、安心の獣医療をお届けします。

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